新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

book

N作者:道尾 秀介集英社Amazon 全六章。読む順番で、世界が変わる。 あなた自身がつくる720通りの物語。 非常に興味深い試み。 なので、まず読み始める前に、こういう着想で本を作るとしたら、 自分ならどういう構想にするだろうかと考えてみた。 そうだな、…

時計屋探偵の冒険 アリバイ崩し承ります 2

時計屋探偵の冒険 アリバイ崩し承ります2作者:大山 誠一郎実業之日本社Amazon 冒頭の「沈める車のアリバイ」が大山誠一郎とはとても思えないほどの 単純すぎる代物で(だって本格ミステリにおける溺死の過半数はこれだよな) いきなりの劣化かと冷や冷やさせ…

円 劉慈欣短篇集

円 劉慈欣短篇集作者:劉 慈欣早川書房Amazon 「三体」の作者の短編集。 無尽蔵のアイデアが盛り込まれ、基本的には奇想SF、 ある意味バカSFと評しても良いような「三体」の作者は、 いったいどんな短編を書いているのか。 特に本書中で唯一既読だった表…

ザ・ベストミステリーズ2019

ザ・ベストミステリーズ2019講談社Amazon 2021を書評リストに登録した際に、これが抜けてたのに気付いた。 ちなみに2014も抜けてたみたいだから、これもそのうち借りてみよう。 本格作品が一編も無い。 他の作品もさほどツイストが効いたものも無い…

ザ・ベストミステリーズ2021

ザ・ベストミステリーズ2021講談社Amazon 読み物としても、ミステリとしても、小粒ながらも粒ぞろいの印象。 本格も多いし、そうでない作品もミスリードなどの手筋が利いた作品ばかり。 今年は協会賞に納得。私のベストも結城真一郎「#拡散希望」だな。 ま…

本格王2021

本格王2021 (講談社文庫)作者:笛吹 太郎,羽生 飛鳥,降田 天,澤村 伊智,柴田 勝家,倉井 眉介,方丈 貴恵講談社Amazon 文庫になって三年目。 これまでの中では、本格度は比較的高めになったような気がする。 バラエティ感を重視というよりは、ちゃんと本格目線…

僕が答える君の謎解き 2 その肩を抱く覚悟

僕が答える君の謎解き 2 その肩を抱く覚悟 (星海社FICTIONS)作者:紙城 境介星海社Amazon おお、凄い。 昨年度のロジック本格のNo.1だな。 ラノベ仕様で、この知名度の低さで、本ミス11位は大健闘だけど、 あらかじめ評判になってたら、もっと上位に食い込ん…

一人称単数

一人称単数作者:春樹, 村上文藝春秋Amazon 村上春樹の短編集って、相当久しぶりに読んだ気がするな。 Wikipediaで短編集の出版履歴見てみたけど、おそらく90年の「TVピープル]以来で、 久しぶりというより、30年以上振りだったようだ。長編は結構読んでたの…

卵の中の刺殺体――世界最小の密室

卵の中の刺殺体――世界最小の密室 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)作者:門前典之南雲堂Amazon バカミス好きの自分にとっては、門前典之は大好物なんだけど、 本作に関してはあまり感心できなかった。 そもそもこの卵を密室と呼ぶのに違和感を感じまく…

混沌の王

混沌の王 (名探偵「オーウェン・バーンズ」シリーズ)作者:ポール・アルテ行舟文化Amazon これが「名探偵オーウェン・バーンズ」シリーズの本来の第一作目。 なるほど、これは順番通りに訳せなかったはずだ。 「あやかしの裏通り」から始めるのは納得。 で、…

名探偵に甘美なる死を

名探偵に甘美なる死を作者:方丈 貴恵東京創元社Amazon いずれも秀作だった「時空旅行者の砂時計」「孤島の来訪者」に続く 〈竜泉家の一族〉シリーズ第三弾。 特に前作は自分の年間ベスト作だったこともあり、より期待の高まった作品。 でもって、その期待は…

僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない

僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない (星海社FICTIONS)作者:紙城 境介星海社Amazon 今年の本ミスに2作目の方がランキングされてて、興味を持った作品。 地元図書館にはこちらしか置いてなかったので、まずは一作目から。 生徒相談室の引きこもり少女…

時空犯

時空犯作者:潮谷 験講談社Amazon 時間ループ物と本格ミステリの融合。 とはいえ、実質はガチガチの本格ミステリ。 ミステリとしてのロジックを構築させる状況として、 時間ループ物が使われているという構造だな。 時間ループ物としては結構ユニークな展開。…

メルカトル悪人狩り

読み終えたのは昨年中なんだけど、感想が遅くなってしまった。メルカトル悪人狩り (講談社ノベルス)作者:麻耶 雄嵩講談社Amazon メルの短編集といえば、前二作「メルカトルと美袋のための殺人」 「メルカトルかく語りき」ともに、私はほぼ史上最上級の9点を…

ポール・スローンのウミガメのスープ

ポール・スローンのウミガメのスープ作者:ポール・スローン,デス マクヘールエクスナレッジAmazon 「水平思考推理ゲーム(Lateral Thinking Puzzles=LTP)」のネタ本。 「ヒント」として、真相につながる可能性のありそうな質問と回答が掲載されている。 でも…

神様の罠

神様の罠 (文春文庫 つ 18-50)作者:辻村 深月,乾 くるみ,米澤 穂信,芦沢 央,大山 誠一郎,有栖川 有栖文藝春秋Amazon 文藝春秋の文庫オリジナル・アンソロジー。 とにかく作者陣が好みとうまく合致してる。 乾くるみ、米澤穂信、芦沢央、 大山誠一郎、有栖川…

新 謎解きはディナーのあとで

新 謎解きはディナーのあとで作者:東川 篤哉小学館Amazon 前シリーズは、後半はだいぶ劣化してたけど、久々の復活編。 充電期間(?)を経て、良いストックが溜まったのかという期待も何のその。 最初の二編のしょぼさ度合いに、こりゃダメだと投げ出しそうに…

レヴィンソン&リンク劇場 皮肉な終幕

レヴィンソン&リンク劇場 皮肉な終幕 (海外文庫)作者:リチャード・レヴィンソン,ウィリアム・リンク扶桑社Amazon 「刑事コロンボ」の作者として有名なこのコンビ。 個人的には、より忘れられないのが、TVムービーの本格三部作。 「殺しの演出者(謎の完全…

四元館の殺人―探偵AIのリアル・ディープラーニング―

四元館の殺人 ―探偵AIのリアル・ディープラーニング (新潮文庫)作者:早坂 吝新潮社Amazon ちょいちょいちょい、かなぁ。 相変わらず、とんでもないことをやってるんだけど、 ここまで来たら、さすがに、ちょ待てよ、と云いたい。 (決して、キムタク風に、で…

ヨルガオ殺人事件(上)(下)

ヨルガオ殺人事件 上 (創元推理文庫)作者:アンソニー・ホロヴィッツ東京創元社Amazonヨルガオ殺人事件 下 (創元推理文庫)作者:アンソニー・ホロヴィッツ東京創元社Amazon おお、さすがのホロヴィッツ。 これだけ安定して出来が良く、面白いのはさすがだな。 …

推理大戦

推理大戦作者:似鳥 鶏講談社Amazon とにかく前半部分にワクワクさせられる。 それぞれ異能力を持つ各国の名探偵達が、 そのお披露目として、短編のように事件を解決していく。 その異能力を最大限に発揮して。 いやいやもう、この辺はべらぼうに面白かったん…

Ark アーク ベスト・オブ・ケン・リュウ

Arc アーク ベスト・オブ・ケン・リュウ作者:ケン リュウ早川書房Amazon 新書版の「紙の動物園」一作しか読んだことの無かった作家だが、 改めてこの傑作集で読んでも、ほぼ同じ感想を抱いてしまった。 その感想で書いたように、「比較的ありがちなSFの…

日華ミステリーアンソロジー

島田荘司選 日華ミステリーアンソロジー作者:島田 荘司,陳 浩基,知念 実希人,陸 秋槎,林 千早,石黒 順子,小野家 由佳講談社Amazon 一編を除いて、シンプルな形式のミステリではない作品ばかりなので、 あんまりミステリーアンソロジーって感じはしないな。 …

海の鎖

海の鎖 (未来の文学)作者:ガードナー・R・ドゾワ国書刊行会Amazon なんか妙に難しく感じられたなぁ。 ハヤカワの「ボロゴーヴはミムジイ」「最初の接触」は 同じ伊藤典夫翻訳でも、あんなに読みやすかったのに。 これが国書刊行会クオリティってことか。 と…

忌名の如き贄るもの

忌名の如き贄るもの作者:三津田 信三講談社Amazon 本格ミステリの論理性としては、いつもよりだいぶ弱かったんだけど、 その分真相のインパクトは、いつも以上の出来映え。 強烈すぎる( )ダニットに、頭くらくらしてしまうこと請け合い。 (そこのあなた、…

法廷遊戯

法廷遊戯作者:五十嵐 律人講談社Amazon 第62回メフィスト賞受賞作。 だいぶ久しぶりにメフィスト賞読んだ気がしたけど、調べてみたら 「NO推理、NO探偵?」「閻魔堂沙羅の推理奇譚」「絞首商會」とか、 比較的最近の作品も少しは読んでたみたいだな。 本作は…

兇人邸の殺人

兇人邸の殺人作者:今村 昌弘東京創元社Amazon さすがに三作連続で傑作とまではいかなかったな。 ミステリとしてのロジックは相変わらずちゃんとしてるので、 本格としての精度は高い。 それはそうなんだけど、館の構造があまりにも複雑すぎて、さっぱり頭に…

三体Ⅲ 死神永生

三体III 死神永生 上作者:劉 慈欣早川書房Amazon三体III 死神永生 下作者:劉 慈欣早川書房Amazon 一作目は奇想SF。二作目は謀略SFミステリ。 そして、この三作目は、原点回帰のハードSF。 また一作目はバカSF。二作目はバカミス。 そして、この三作目はバカ…

invert 城塚翡翠倒叙集

invert 城塚翡翠倒叙集作者:相沢 沙呼講談社Amazon 二作目はまさかの倒叙作品集。 前作を読んでない人は絶対に読んじゃダメですよ。 あの大傑作を読む前に、ネタバレ読んじゃうなんて、こんな勿体ないことはありません。 必ず本署の前には「medium 霊媒探偵…

雷神

雷神作者:道尾 秀介新潮社Amazon 「龍神の雨」「風神の手」に続く、神三部作の完結編。 (あっ、それぞれに関連性は全くなく、完全な独立作品です。念のため補足) その「風神の手」も傑作だったが、本作もそれに劣らぬ傑作。 久しぶりに道尾秀介の得意技で…