新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

夢喰い探偵 1~3巻(完)

 
これがデビュー作で、打ち切りになってる作品なんだけど、
いやあ勿体ない。
 
殺人事件とかじゃなくて、日常の謎なんだけど、
吃驚するくらい本格度が高い。
 
伏線もしっかり張られてて、しっかり回収される。
走馬灯のシーンで(意味は読んでわかってください)
謎が整理されるんだけど、この時点でそれらに正解するのは
非常に困難だと思う。地味に凄いぞ。
 
事件自体はやりたいことに対して、
あまりにも仰々しすぎたり、持って回りすぎたりしてる。
その辺は気になるポイントではあるのだけど、
伏線、ロジックと、とにかく本格性は高く評価したい。
 
ちょうど3巻なので、ベスト3は各巻毎に1作選出してみよう。
 
1巻からは第3話「最大の禁忌」。
暗号の解読から人情味のある解決、真犯人の指摘と隙が無い。
2巻からは第6話「金田一耕助 vs. エラリー・クイーン
手掛かりの解釈から浮かび上がる真相が上手い。
全体通して、これが文句無しのベストだな。
3巻からは第8話「輪(リング)」かな。
 

地球のパンは禁断の金

土曜は町田まで歩きing。
日曜はブックオフの日なので、多摩永山店まで歩きingして、帰りは新百合で途中下車。
 

1.~3.はこういう基本形はやっぱり押さえておきたいなと。4.,5.は500円以上で230円引きのクーポンの条件合わせに。以前買った2巻は結構良かったので。特に6巻は柏原寛司のストーリー担当作もあるので。
 

  • 昨日のブックオフ多摩永山店
    1. 鴨乃橋ロンの禁断推理 5 天野明 ジャンプC+ ¥290
    2. 鴨乃橋ロンの禁断推理 7 天野明 ジャンプC+ ¥345

これで5~7巻まで読むことが出来るぞ。7巻の帯には、相沢沙呼辻真先法月綸太郎の推薦文が。なんか凄いことになってるな。
 

途中下車した甲斐があった。これでようやく30周年版も最初の事件を読み上げることが出来る。さて、今度のシリーズはどんなものか。
 

あなたへの挑戦状

 

本書には、あなたへの挑戦状が含まれています。

『紅蓮館の殺人』『透明人間は密室に潜む』の阿津川辰海と
『楽園とは探偵の不在なり』『廃遊園地の殺人』の斜線堂有紀が
「あなたへの挑戦状」というテーマで小説を書いて競い合う!

 
てっきり読者への挑戦状だと思ってしまうやん。
ずるいっ!
 
『「あなたへの挑戦状」というテーマ』という表現も異議あり
 
本書は阿津川辰海、斜線堂有紀の二人がお互いに謎だけを出し合い、
その謎を解決する作品を競作する、という主旨。
そういう趣向だというだけで、テーマがそれなわけではない。
ましてや読者は全然関係ないので、誤解無きよう。
 
袋とじも期待しないように。提出された謎が書かれてるだけ。
そもそも本書中に掲載されてるんで、全くの無意味では?
 
出来はそれぞれそこそこ。
良い!ってわけでも、ひどい!ってわけでもない。
 
阿津川辰海「水槽城の殺人」はこねくり回しすぎたかな。
まぁ余分と思えるところも、犯人特定のロジックに
組み入れてるなど、工夫はされてるけど。
 
斜線堂有紀「ありふれた眠り」は謎の解決法としては、
身も蓋もないくらいそのまま。
ただ真実が見えてくるところの心情の描き方は良かった。
 
本作りとしてのうっすら詐欺感もあって、採点は6点どまり。
 

ウイナーズサークルへようこそ 2巻~9巻(完)

巻数が多いので、書影は最終巻のみ掲載。

 
競馬という必勝法のあり得ない世界で、
どうやってゲーム漫画として続け切ることが出来るのか、
興味津々だったけど、これ充分出来てると思うよ。
 
まぁ必勝法が無い世界だからこそ、作者の都合だけで
勝ち負けは自在に左右できるという利点はあるけれど。
 
そういうわけで、相当必勝法的に扱われてる70式
(馬券上手と下手の予想を比べて予想する方式)
もそう上手くはいくまいと当然思うわけだけども、
漫画世界のリアルとしては充分受け容れられてしまう。
 
これだけ手を変え、品を変え、ゲーム漫画として
競馬を描けたのは、さすが甲斐谷忍だと思えたなぁ。
 
馬神トーナメント準決勝進出したとこまで、という
ものすごく中途半端なところで、中断したのは勿体ない。
準決勝も、過去の馬神たちが総出演する決勝なんて、
是非とも読んでみたいのになぁ。
 
まぁおだきょう(「霊能力者小田霧響子の嘘」)は
だいぶ尻すぼみになってたから、潮時だったけど、
こっちはこれからだったのになぁ。
 
残念。
 

惑星のさみだれ 1~10巻(完)

巻数が多いので、書影は最終巻のみ掲載。

 

雨宮夕日はごく普通の平凡大学生だった……ハズが、ある日現れた喋るトカゲに「地球の危機」を救う協力を依頼される。拒否するまもなく、既に指輪と能力が与えられ、早くも敵に襲われてしまった夕日を救ったのはなんとお隣さんの少女・さみだれ。救世主の降臨と思いきや、実は地球征服を企む魔王だった……。平凡な日常と奇妙な世界が交錯する新感覚ご近所ストーリー!!

 
基本形は「七人の侍」型ヒーロー漫画。
 
契約により特殊能力を与えられた超能力戦士達が一人一人集まってきて、
地球を滅ぼそうとしている悪の魔法使いと戦うという話。
 
まさしくそういう話であることは間違いないのだけど、
だけど、まぁ、そういう話でもない(笑)
 
雰囲気はかなり緩い。滅亡寸前の地球であるのに、
まるで日常の青春漫画のような雰囲気でもある。
時々、ぴりっと辛い話が混じってはくるけど。
 
ちょっととぼけたユーモア感が常にベースにあるんだけど、
最後はなんだか感動しちゃった。
 
映画のエンドロールの「登場人物達のその後」のテロップみたいな、
この締めくくり方も良かったと思う。
 
気に入った。
この人の作品はもっと読んでみようかと思う。
ブックオフで「スピリットサークル」のコミックボックス見かけたら買おう。