新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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真実のグリフィンを想う脚本はハッピーエンド

冤罪事件である足利事件についての、日テレの取材班のドキュメントコミックらしい。
 

「極上のミステリ・サスペンス作品集」となっていて、解説も我孫子武丸だったので。
 

1は、「新耳袋」の作者が、四半世紀の間に原作担当した漫画の集大成らしい。
2は、ようやく110円で見つかった作品。自身脚本の全作品を収録したもの。
 

正直、はっぴぃえんど自身には疎いんだけど、トリビュートものが好きなので。
 

なくてもよくて絶え間なくひかる

想像と現実の狭間で、大切な君と出会った。
 
並木くんの心の中の、大切な存在。その名は「ゴールデンユキコ」。ところがある日、五卯留伝有木子を名乗る少女と出会った。君は僕の想像ですか? 現実ですか?ここにいる僕は――。鮮烈なる才能・宮崎夏次系が描く、新時代ボーイミーツガールストーリー。

 
私は宮崎夏次系を、こう表現している。
「ちょっと不思議で、絶対的に変で、どこか切ない話を描く作者」だと。
 
本作も、間違いなくそんな作品だった。
 
でも、こうも思った。
「宮崎夏次系は、長編で読む作家ではないな」と。
 
“ちょっと不思議”や“どこか切ない”は、
短編だろうが長編だろうが、読み味に大きな差は出ない。
 
けれど、“絶対的に変”が意味するところは、
読者が理解しようとする回路そのものを、阻害する要素なのだ。
 
短編なら、まだ飲み込める。
全部ひっくるめて、“印象”として丸め込める。
 
だが、長編を読み終えた挙げ句にそれでは、
あまりにも報われなさすぎる。
「なんか良かった」という“印象”には、もはや丸められない。
 
宮崎夏次系を読むのは、短編集だけにしよう。
 

山風短 1 くノ一紅騎兵

美しき者には、人智を超えた忍法があった! 快楽極まる、超絶の秘術を見よ! 天下分け目の「関ヶ原の戦い」の前年、不穏な空気に満ちた京の遊郭にいた、ひとりの美しき者。名は陽炎(かげろう)。この者が、天下の形勢を、大きく動かしていく! 山田風太郎には、短編にも多くの傑作あり。せがわまさきによる、極上の漫画化、それこそが『山風短(やまふうたん)』!

 
タイトルがネタバレになっている作品ではあるが、
ちょっとした意外性も楽しめて、
やはり、このシリーズは悪くなかったな。
 
関ヶ原の戦い」という重要な史実をベースに、
実在の武将たちをこれだけ配し、
なおかつ奇想天外なストーリーを紡ぐ、
山田風太郎と作画・せがわまさきの抜群の融合性。
 
ちなみに、ミステリファンの自分としては、
こういう真相もあったのではないかと考える。
(以下、白文字で)
 
本書中で語られているように、もともと姉弟という設定だった。
双子で、夜伽の際に時々入れ替わっていたことで、
姉が精を受けたのではないかと。
館の出入りも、双子であれば顔パスでいけたはず。
乳房の伸縮自在の女忍者という設定を用いなくても、
こういう、ごくごく普通の真相も、あり得たのでは?

 

Q.E.D. UNIV. -証明終了- 1巻

 
「Beginning of the UNIV.」

ここから大学編の始まり。
新シリーズの開幕となる作品だけあって、
加藤元浩らしさがたっぷり詰まった好短編だった。
 
情報面としては宇宙論を扱っていて、
この短さの中にエッセンスを見事に詰め込んでいる。
 
ミステリとしても、これは開かれてはいるけれど、
密室ものだとも言えるだろう。
十分な解決だし、更なるサプライズもある。
 
最後のページにある、二人の役割の比喩も良かったね。
 
 
「ルーツ」
 
これはミステリ的な楽しみは薄い代わりに、
コンゲームとしての展開の楽しさで、それを補っている作品。
 
情報面としても強さはなく、アジア圏とヨーロッパ圏の
学習スタイルの差に関する考察が興味深かった、という程度か。
 
この情報面とミステリとを繋ぐ、タイトルの役割も弱め。
 
最終ページの二人を見ると、もうなんだか
ベテラン夫婦みたいな域に入っているようにも見えるなぁ。
もう少しときめきが欲しいような、不要なような……
ちと微妙。
 
さて、iff編はもともと30巻くらいの構想だったみたいだけど、
UNIV.編はどうなんだろう? もっと短いかな?
でもって、やっぱり次は夫婦編――なのかな?
 
気が早すぎ?
 

宝石商リチャード氏の謎鑑定 1巻

酔っ払いに絡まれる美貌の外国人・リチャード氏を助けた正義。彼が国内外に顧客をもつ敏腕宝石商と知り、誰にも言えない曰くつきのピンク・サファイアの鑑定を依頼する。祖母が死ぬまで守っていたその宝石が秘めた切ない“謎”がリチャード氏により解かれるとき、正義の心に甦るのは…? 集英社オレンジ文庫の大ヒット作をコミカライズ! 美しく輝く宝石に宿る、人の心の謎を鮮やかに解き明かすジュエル・ミステリー!!

 
謎と解決はあるけれど、ミステリではないな。
広義の“ミステリー”と謳うことを否定はしないけど。
 
とはいえ、ミステリの解き味こそ、まったく無いけれど、
謎と真相、そのもの自体は悪くはない。
切なさ感も出そうとしている。
 
男主人公二人のバディものになっていて、
片方は超美形設定なので、身構えはしたけれど、
BL色がある作品ではなかったし。
 
読み物としては、悪くはないかもな。
短編オンリーみたいなので、巻を飛ばせない、という制限もなさそうだし。
何も無いときに、110円で見かけたら、買ってもいいかも。