新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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たがみよしひさ作品集Ⅱ ミステリー編

 
結構ミステリ漫画の書き手としては、名の挙がる作者だけど、
「NERVOUS BREAKDOWN」も持ってはいるけど、ほとんど積ん読になってて
(そんなのが何百冊もあるんだけど)、私自身はあまりいい読者ではない。
 
そういう作者のミステリ作品を集めたアンソロジーではあるんだけど、
雰囲気ミステリの作品ばかりで、あまり自分の琴線には触れなかった。
 
ベスト3を選ぼうとしたら、どうしても直接殺人を描いた作品になるなぁ。
 
ベストは「疾風迅雷(はしるいかずち)」だな。
で、第二位はほとんどおんなじ雰囲気だけど「雪の降る日は気をつけて」で。
作者自身の言うようにミステリ風ホラーだけど、真相のミステリ風味が
前者の方が上なので、そちらに軍配。
第三位はあまりピンとくる作品はなかったけど「38P」で。
 

名探偵コナン 緋色の弾丸

04/22 日本テレビ放映分。

 
まぁ普通の出来かと。
 
コナン劇場版は、ミステリとアクション映画の融合って感じだったけど、
最近はこれにキャラクタ物要素が加わって、
どんどんそちらの比重が一番重くなってきてる印象。
 
劇場版はファンサービスが重要だろうから、仕方ないかもしれないけど。
ただ、シリーズをちゃんと追ってない方の見方から言えば、
あまり歓迎できる方向性ではないのも事実。
 
ミステリ要素はいつも薄いけど、本作はいつにもまして薄く感じられたし。
 
たまにはミステリ要素高めのコナン作品を観せて欲しいなぁ。
 

シン・ウルトラマン

05/15 イオンシネマ新百合ヶ丘にて鑑賞。

 
ある程度以上の年配の男性客単身と、小さい子連れた家族客と、完全に二分された客層だった。
隣(と言っても後ろ半分は間引きでの販売なので、一席空いて、だけど)に座った子供が、
退屈しきってたのがはっきりと見て取れたよ。
そりゃ、そうだよなぁ。これってファミリー映画では全然ないもの。
 
親の影響でウルトラマンの旧作を全話観て、怪獣・星人の名前を全部言える子だって
(かつての息子なんかは、まさにそんな子だった)
なかなか付いていける作品じゃない。
 
シン・ゴジラ」が延々と会議してる映画だったように、
「シン・ウルトラマン」は延々と分析してる映画だった。しかも難しい用語駆使して。
SF読み慣れた大人でも、この早口で振り落とされそうになるくらいだったからなぁ。
 
これはどう考えても、小さい頃から何周もウルトラマン見続けてきた
(かつてはそうそう人気コンテンツが無かったら、こういう特撮やアニメや学園青春ドラマの
 特定作品ばかりが、何度も何度も繰り返し繰り返し再放送されてた)
そして、このいらすとやのポーズ(上の画像)を絶対にしたことがあるであろう、
おっきい子供達(前者の「ある程度以上の年配の男性客」)のための作品。
 
ウルトラマンの初回から最終話までのエッセンスを上手く取捨選択して凝縮して、
現代の視点で、現実(リアル)にどこまで取り込めるかを、現前させてくれた作品。
 
観る前はキャストに若干疑問を感じていたけど、斎藤工本人からそこはかとなく滲み出てる
人間性みたいなものが、ウルトラマンにぴったりマッチしてた。
 
ここまで見事なリブートが観られるとは、正直、期待以上だった。
 
こりゃあ早く「シン・仮面ライダー」も観たいなぁ。
(ところで「真・仮面ライダー」ってのも昔あったから、ちょいと紛らわしくないか。
 字面で見るのはともかく、口に出したら一緒だもんね)
 

記憶を書き換えられるとしても

日曜日は町田まで歩きing。きっと来週の日曜日も(ブックオフの日だからね)。
土曜日は3時近くまで雨だったので、近場の散歩だけだったけど、それでも合わせて26,094歩。
 
30冊のブックオチケットの締切が5/23だった。最後の一冊をこれで使い果たす。

  • 昨日の町田ブックオフ
    1. 記憶屋 1 織守きょうや・村山なちよ ガンガンC ¥10
    2. 記憶屋 2(完) 織守きょうや・村山なちよ ガンガンC ¥66

エターナル・サンシャイン」っぽい話なのかな。つい最近映画化もされてたよね。
「遂に明かされる「記憶屋」の切なくも驚愕の真実――。その答えにきっと涙する、大人気ノスタルジックホラー」という2巻の謳い文句に心惹かれて。
当然誰もが心から消したい人生の汚点ってあると思うけど、でも、そんなのも全部ひっくるめての自分。今日の表題にしたけれど、自分だったら書き換えるなんてことは絶対にしないと思う。
 

 

全六章。読む順番で、世界が変わる。
あなた自身がつくる720通りの物語。

 
非常に興味深い試み。
 
なので、まず読み始める前に、こういう着想で本を作るとしたら、
自分ならどういう構想にするだろうかと考えてみた。
 
そうだな、やはり本格厨な自分なら、1編1編にその作品内では解けない謎を仕込んでおいて、
別の作品の謎解きも必ず1つ盛り込むようにする。
どの謎がいつどんな形で解けるか、組み合わせによって全く違うものになる。
 
さて、では、道尾秀介はどういう構想を見せてくれるのか。
 
まず、どういう順番で読んでみるか。冒頭の全六章の書き出しを読んでみて、
一番いい話っぽい気がした「消えない硝子の星」を読んでみた。
さて、次にどうするか。ふと、初出一覧を見てみると、たまたまこれが雑誌掲載最後の作品だった。
よし、では、発表順と逆順に読んでみよう。ランダムに読める作品だと言っても、掲載順には
作者の意図が入ってるかもしれない。それと真逆に読むことで、本書の成功度合いが見えてくるかも。
(嫌らしい読者で申しわけない。でも、こういうのもミステリ者の性だよね)
 
結果的には、本書には明解な構想は見えなかった。共通の登場人物を様々な時間軸で組み合わせて、
順番によって、作品としての印象がなんとなく変わる。そんな意図でしかなかったように思えた。
 
ただ、その中でも明らかに、私が読む前に構想したように、実は謎が仕込まれていて、
別の作品でそれが解かれるという組み合わせも存在している。
その一番の代表が、謎が「笑わない少女の死」であり、解決が「消えない硝子の星」
前者が最初に発表された作品で、後者が最後に発表された作品。
出来るだけ引き延ばそうという作者の意図が見えてくるではないか。
 
しかも読んでいただければわかるが、この「笑わない少女の死」が一番重たく気が滅入る作品。
逆順に読んでしまった自分には、どうにもこうにも読後感が良くなかった。
 
これから読まれる方は、出来るだけ早めに「笑わない少女の死」を読んで、
必ずそれより後のどこかで「消えない硝子の星」を読まれることをお薦めします。
 
広義のミステリかどうか結構微妙な点はあるけれど(ただSRのリストには載ってくるかな)
本の構造は無茶苦茶面白かったけど、明解な構想は見えなかったので、採点は7点で。