孤島に立ついびつな形の洋館・奇岩館に連れてこられた日雇い労働者の青年・佐藤。到着後、ミステリーの古典になぞらえた猟奇殺人が次々起こる。
それは「探偵」役のために催された、実際に殺人が行われる推理ゲーム、「リアル・マーダー・ミステリー」だった。
佐藤は自分が殺される前に「探偵」の正体を突き止め、ゲームを終わらせようと奔走するが……。密室。見立て殺人。クローズド・サークル――ミステリーの常識が覆る!
いかにも現代的な着想を具現化させた作品。
ミステリのパロディ仕立てのような読み味だった。
その分、ミステリとしての弱さは否めない。
トリックなんかは、正直ひどい出来だし。
設定の面白さ勝負で、ストーリーの面白みにもやや欠ける印象。
そのストーリー性の薄さに繋がる、全編を覆う違和感に説明が付けられる
真相のツイスト(ってほど大仰なものではないけれど)は、まぁ「悪くはない」程度かな。
最後の展開も、上位互換とは思えなかっただけに(ここはもっと上手くやってほしかった)
すっきりとは納得できなかったかなぁ。
そんなわけで、採点は6点止まり。
――ただ、これを踏まえて、二作目ではどんなことをやってのけるのか。
そういう興味はあるので、「バスカヴィル館の殺人」は読んでみようと思う。