子供はわかってあげない (上)(下)

 
マンガ大賞2015の第二位作品。
ミステリマガジン2017年7月号の特集「このミステリコミックが大好き」にも選ばれてた。
 
ただ、これをミステリ漫画としての観点で読むには無理があるなぁ。
 
ヘンテコなお話を軸にした、ボーイミーツガールの物語。
特にもう下巻の終盤ときたら、キュンキュンした甘酸っぱさに、
もうお尻がむずかゆくて仕方なかった私がいますよ。
「キュン死」って言葉を、初めて実感出来た気がしたくらい。
 
ミステリ界隈で話題にしたい作品ではないけど、
マンガ大賞のこの結果は、凄くセンスの良さを感じる。
 

5分間SF

5分間SF (ハヤカワ文庫JA)

5分間SF (ハヤカワ文庫JA)


草上仁、一時期はよく読んでたよなぁと思って、自分の書評リスト確認してみたら、
氏にしては珍しい長編ミステリの感想が一作あるだけ。
 
あれっ、おかしいなと思って、Wikipedia見てみたら、なんと1993年以降、
短編集の刊行がされてないってことを知って、プチびっくり。
読んでたのはホームページ立ち上げ前の大昔だけだったのか。
 
短編の名手で多作家というイメージだったから、継続的に出てるもんだと思ってたけど、
本人が書ける書けないの話じゃなくて、SF冬の時代の影響もろかぶりだったのかもなぁ。
 
で、久しぶりの短編集は、5分で読めるというコンセプトのショートショート集。
一つ一つのアイデアがしっかり立ってて、
ショーショートらしい起承転結(スピード感で云えば序破急の方か)があって、
開きっぱなしにはせず、しっかりと落としてある。
(ま、多少似通ったアイデアやオチがあったりはするけれど)
 
さくさく読めるし、楽しい作品集だった。
 
数多いので、今回はベスト5を選出。
収録順に「マダム・フィグスの宇宙お料理教室」「半身の魚」
「トビンメの木陰」「予告殺人」「ユビキタス」で。
 
このうち、ベストを1作だけ選ぶなら「トビンメの木陰」かなぁ。
 

うなぎを世界一旨く喰うための方法

もう既に三週間近く経とうとしているのだけれど、
9/15~17で家族揃って福岡に弾丸帰省してきた。
いったい何年ぶりになるだろうか。
 
初日は大牟田の実家に泊まり。
やはり九州の魚は安くて旨い。これで5千円の盛り合わせ。
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二日目の昼はとんこつラーメンを食べて、そこから柳川へ。
 
帰省のたびに楽しみにしてるのが、うなぎのせいろ蒸しなのだ。
(今回は柳川に宿を取って、せいろ蒸し食べて、宿で呑み直して、
 ちょっとだけ非日常感も演出。我が家四人と私の父母と妹の計7人)
 
ちょっと過激な物言いを敢えてしてみるが、浜名湖を始めとして、
やれ、どこそこのうなぎが最高とか、どの店が旨いとか言ってても、
白飯の上にうなぎ乗っけて、それをありがたがっているようじゃ、
まだまだだなぁと。
 
うなぎの世界一旨い食べ方はせいろ蒸しかと(※個人的見解です)。
 
これよ、これ。若松屋の上せいろ。
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機会がありましたら、是非、たれの染み込んだ絶品ご飯と、
ホクホクのうなぎの超絶な美味のマリアージュを堪能してみてください。
 

腸詰小僧

腸詰小僧(ちょうづめこぞう) 曽根圭介短編集

腸詰小僧(ちょうづめこぞう) 曽根圭介短編集

 
いずれの作品もどんでん返しに彩られたものばかり。
ただ、その色はひたすらに黒い。
 
黒い連中ばかりが、どんでん返しの黒い罠に落ちていく。
勿論、落とす連中も間違いなく黒い。
 
ただ、その割には厭ミスのどろどろとした嫌悪感は、
そんなには感じられなかったのは何故だろうか。
 
さほど極端な驚きは無いものの、
全ての作品がどんでん返し構造を取っていることが、
自分にとっての要因なのかもしれない。
知性で構成されていることが明確なので、
情感の発露みたいな作品とは一線を画してるのかと。
 
ベストは「天誅」かなぁ。
最後に明らかになる無邪気な邪気にぞっとしてしまう。
第二位は「留守番」で、第三位は「腸詰小僧」で。
それぞれどんでん返しが効果を生んでいる度合いで評価して。
 
どんでん返しだけで短編集を成立させるのは評価するけど、
どんでん返しの威力としてはそう高くはないので、採点は6点止まり。
 

HELLO WORLD

09/28(土) イオンシネマ新百合ヶ丘にて鑑賞。
 
脚本が野崎まどだし(ほぼこの時点で決まりではあったが)、
「この物語はラスト1秒でひっくり返る」という、
眉唾であっても、とても無視できそうもない売り文句を付けられては、
観に行かずにすませようがあろうか(反語的表現)。
 
グレッグ・イーガンの世界観を下敷きにして、
クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』を、
今敏監督の『パプリカ』の映像イマジネーションで描いた、
キミとボクの物語。
 
……という要約が出来そうな作品だったな。
 
惹句がコレなわけだし、どんでん返しをウリにしてる作品だったけど、
このラストのしめ方はそれほど巧みとは思えなかった。
 
このひっくり返し方は割とよくある。
もう何度も観たり読んだりしている手口。
 
それでいて必然性や伏線があるとは言えない。
映画で一回見ただけでは見つけられていないだけという可能性もあるが、
少なくとも「なるほど、そうか」と即素直に納得できる作品ではあるまい。
 
ただまぁ、「二つの世界とものハッピーエンド」が演出できているわけなので、
納得度は今ひとつでも、鑑賞後感としては悪くない心地よさが感じられた。
この点は『天気の子』との一番大きな違いだろう。
 
またアニメ映画では「なんで声優使わないんだよ」と不満を抱くことも少なくないが、
主要キャラを俳優ばかりが演じてるにしては、違和感なくマッチしてて良かった。
浜辺美波に興味を持ったことは一度も無いが、「やってやりましょう」の言い方は萌えたし(笑)
 
映像美は新海誠に及ぶべくもないが、映画としての総合点はこちらを推したい。