新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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大樹館の幻想

乙一史上初となる「館もの」本格ミステリ、堂々の落成!
 
--決して解かれえぬ謎と共に炎に包まれ、この世から消え去った「大樹館」。
この館に住み込みの使用人として働く穂村時鳥は、「これから起こる大樹館の破滅の未来」を訴えるおなかの胎児の声を頼りに、その未来を塗り変える推理を繰り返すが--!?

 
う~ん、なんだか色々と微妙な気がする。
 
引用したあらすじにあるように、これは特殊設定ミステリ。
……ではあるんだけど、展開とかに影響していることはたしかなんだけど、
ミステリとしての必須要件では全然ないんだよね。
自分の感覚だと、これは「特殊設定小説」ではあるけれど、「特殊設定ミステリ」ではない。
せっかく特殊設定を用いてるのに、それでは勿体ない気がしてしまう。
 
物理トリックも二つあるんだけど、大がかりな方はイメージがさっぱりわかないし、
それまでの説明と矛盾してる(最後に言い訳が書かれてはいるけど、そりゃ無いっしょ)。
イメージがわかないくらいだから、意外性なんてちっとも覚えない。
それに館ミステリとしての醍醐味だろうに、使い方としては枝葉末節程度の役割しか果たしてない。
 
もう1個の方もオリジナリティは無いし、細かすぎる解説も本格ミステリとしては無粋。
こういう解説をさせるのも、キャラに全然合ってないし。
 
フーダニットの方も「死者による殺人」という趣向が成立してると思うのに、
なんか全然外連味の無い描き方になってたし。
 
ここまで挙げてきたように、もうちょっとポテンシャルはありそうなのに、
いまいち生かし切れてないように思えて、色々と微妙な気がした次第。
 
というわけで、採点は6点止まり。
 

モウ半分、クダサイ

本当は怖い落語×驚愕のどんでん返し!
著者渾身の作家生活30周年記念作品

 
ホラーの皮を被ってはいるけれど、
実は理の筋が通っている、真っ当な本格ミステリ
 
……ってのを狙っているんだろうが、
やはり相当に無理矢理に感じられてしまう。
 
この作者ならではの、きっちりと”形”にこだわる、
本格ミステリ作家特有の凝り性って奴が、
逆に歪さとか、違和感を醸し出してしまっている。
 
たった一人の観客のための独演会、という“形”。
三つの話が全て一つに収束していく、という”形”。
 
ホラーであれば不思議でも何でもない前者は、
本格ミステリの枠として組み込むと、必然性とか、
展開の不自然性とかが、どうしても違和感として浮き上がってしまう。
 
後者を成立させようとするがための、人間関係の偶然性とかも、
ホラーであれば因縁話ですむだろうが、本格ミステリとしては疑問。
 
「本当は怖い落語」ってのは成り立ってると思うけど、
「驚愕のどんでん返し」とは思えなかったし。
 
”形”への固執が、裏目に出た作品というのが自分の評価。
採点は6点。
 

珠玉の名作アンソロジー 6 姫と王子とロマンスと

 
ロマンチックな「姫と王子」の物語。
 
……と言われてもなぁ。
さすがにこういうテーマは男子(爺だけど)には刺さらない。
 
当然”憧れ”みたいな要素は一切感じないんだけど、
ただ意外に、話としては楽しめるものばかりだった。
 
1巻以外(他には3,5,7巻が既読)はあまりこういう気分は味わえなかったので、
このシリーズとしての個人的順位は2位になってしまうようだ。
 
ベストはテーマとの整合性が最も高かった、さいとうちほ「夢のかたみ」で。
第2位は王女の可愛さと凜々しさに惹かれて、田村由美「ボクが王様になった理由」で。
第3位はこのシリーズでは定位置の奈知未佐子「雲のたまご」で。
 

テラフォーマーズ外伝 アシモフ 1~2巻(完)

 
テラフォーマーズ本編に関しては、漫画は完全に未読。
映画版は見てるのだけど、これは完全に時間を無駄にする愚作だった。
 
そんなわけで、何一つ思い入れは無く、動機はBoichiが作画担当ということのみ。
作画というよりは、文章で書かれたシナリオをベースに、
ネームから全てBoichiが起こしてるそうなので、
ほぼほぼBoichiの作品と言って良いくらい、Boichi色の強さが出ていた。
 
なので、原作関係無しに楽しめる作品になってる。
 
2巻の帯に「これぞ漢(Boichi)による、MAN(全ての人類)のための
男(オトコ)の漫画!!! 男気3倍増!!」と原作者が書いてるように、
主役であるアシモフを筆頭に、男キャラの男気が爆裂してる。
 
女キャラはみんなエロいし。
 
元々が持っていたキャパを、Boichiが何倍にも拡げてみせた作品だろう。
 

開かれた神の迷図は廻っても悠々と短い

  • 01/15のYahoo!フリマ
    1. オープンクロゼット 2 谷和野 フラワーズC ¥150

この作者は集めることに決めたので。
 

  • 01/18のブックオフ横浜あざみ野店
    1. アフターゴッド 6 江野朱美 裏少年サンデーC ¥120

こういう巻が置いてあってラッキーだったな。
 

今回は2軒とも回った甲斐があった。これで残るは最終巻のみ。
 

珍しくここは26巻まで220円棚に。これが買えたので、あとはもう27,28巻のみ。
 

1.,2.は未完のデスゲーム。これで半分集まった。3.も着々と。
 

このシリーズを220円棚で見つけたのはこれで二回目。これも勿論揃えたいなぁ。