新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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本格王2019

 
全く気付いてなかった。
新書版の「ベスト本格ミステリ」は無くなって、この文庫版に変わっていたんだね。
薄くなって(収録作品少なくなって)、より先鋭化されるかと期待したら、全然期待外れ。
 
18年度版で確信したことだけど、本格ミステリのベストを見せましょう、というコンセプトではなく、
いろんな種類の作品を幅広くお見せしましょう、という選者の意図があるんだと思う。
で、こうして少ない作品でバラエティ感を出そうとすると、ますます本格の入る余地が無くなってる。
まぁ、どの作品も本格の要素はあるにはあるんだけど(伏線とかミスリードとかトリックとか)……
 
てなわけで、ベストは個人的には一択。
本格の三段跳び大山誠一郎「探偵台本」に決まり。
 
他はあまり選択したくなる作品は無いんだけど、
作品としての雰囲気を買って、戸田義長「願い笹」を第二位に。
主人公のミスリードを買って、友井羊「枇杷の種」を第三位に。
 
本格のアンソロジーとはとても思えないので、採点は6点。
 

罪の声

11/20(金) イオンシネマ多摩センターにて鑑賞。
 
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原作は未読。
 
あのグリコ森永事件を下敷きにして、
ひょっとしたらあり得るかもしれない真相を炙り出す過程を描きながら、
”罪の声”に翻弄された三人の子供達の人間ドラマを丁寧に描いた作品。
 
声から徐々に真相を追っていく曽根俊也(星野源)サイドと、
新聞記者の視点から真相を追っていく阿久津英士(小栗旬)サイドが、
交差してからは、バディ物のような雰囲気で一気に全貌に迫っていく。
 
それなりに説得力のある真相なんだけど、その過程はあまりミステリ的な興趣は無し。
最後の方に明らかになる真相も、ちょっと唐突で不必要な感触も受けてしまった。
何故あんなテープを残していたのか、という根本的な疑問に対しての解答に繋がるのなら
納得出来たんだろうけど、そうではなかったし。
(これが無ければ、そもそもの始まりが無い話なので、心理的裏付けが欲しかったなぁ)
 
ただ、演技陣の説得力は半端ない。この映画の最大の魅力はそこだったな。
特に望役の女の子と、聡一郎の大人役の役者の存在感が格別。
望の親友のシーンも切々に胸に迫ってきて、涙が滲んだ。
これらがあるから、観る価値はあったと思えたかな。
 

わしが驚く悲劇の犬は地獄の星の眠らない英雄

土曜日は町田まで1時間半の歩きing。日曜日はブックオフの日だし、滅多に行かない多摩永山店まで1時間以上かけて歩きing。帰りに新百合のブックオフにも寄ったけど収穫は無く、せっかく降りたのでそこからまた1時間歩いて自宅に帰還。二日合わせて34,395歩と、健康的な週末。

1.は大統領選を描いた作品。上下組の下巻と、3巻組の1巻を購入済みなので、これで漏れ無く読めるはず。2.は『5分で読める!ひと駅ストーリー』シリーズから選出した原作をコミック化したもの。3.,4.は面白さ保証付き(と、私は思っている)の高橋留美子の短編集。

500円以上購入で300円引きのブックオフの日クーポンにて購入したので、ちょうど50円換算。
1.は永井豪版地獄編。2.は実は読んでない作品が数多くあるので、今更だけど補完しておく。3.はクリスマスの時期だけ「まんがライフ」に4頁ずつ連載された作品を19年分詰め込んだもの。気の長い作品集だ。4.,5.は地道にバラで集めることにした。町田で3巻は売ってるので、これで早くも半分は百円棚で揃うからね。
 

ベムハンター・ソード

ベムハンター・ソード (講談社漫画文庫)

ベムハンター・ソード (講談社漫画文庫)

 
SFは昔から大好きなんだけど、スペース・オペラ系の作品は
ほとんど好きになったためしがない。
 
なので、本作なんかも星野之宣の中では、
自分にとってはあまり満足度の高くない作品。
 
ベストはやはり作者自身が自薦集にもに選んでいた「惑星ファイオリ」だなぁ。
あとがきの中で、作者は「生物祭」も自信作に数えているけれど、
自分の第二位は「ラグーンの彼方」で、第三位は「進化の鏡」かなぁ。
 

百万畳ラビリンス (上)(下)

百万畳ラビリンス  上巻 (ヤングキングコミックス)

百万畳ラビリンス 上巻 (ヤングキングコミックス)

  • 作者:たかみち
  • 発売日: 2015/08/10
  • メディア: コミック
百万畳ラビリンス  下巻 (ヤングキングコミックス)

百万畳ラビリンス 下巻 (ヤングキングコミックス)

  • 作者:たかみち
  • 発売日: 2015/08/10
  • メディア: コミック
 
「Cube」のようなソリッドシチュエーションスリラー(但し怖さゼロの)。
 
そういう系統にも関わらず、設定の謎は放っておかれることなく、ちゃんと説明される。
まぁ、これだけの超自然な状況なので、こんな真相なのは仕方ないところ。
とはいえ、作者が最初から考えたとおりの真相ということなので、
充分受け容れられるものにはなってるかなぁ。
 
キャラクタはとてもいい。
常世界でのメンヘラ具合がもっと早い段階で描かれていたら、
もっとコントラストが効いてて、良かったんじゃないかとは思ったけど。
けど、このキャラクタ設定がしっかりしてたから、
ラストの締め方にちゃんと説得力があったと思う。
 
展開も紆余曲折があって、しっかりと構築されていた。
上下巻で完結というのも、引き延ばし感もなく、良い具合に引き締まってる。
 
秀作だと思う。