巨星

巨星 ピーター・ワッツ傑作選 (創元SF文庫)

巨星 ピーター・ワッツ傑作選 (創元SF文庫)

 
う~ん、ちょっと難しかった。
 
読み終わっても、自分はこう解釈したんだけど、
それが正しく読み取れてるのか、自信が持てなくなるような作品ばかり。
陰謀論的な裏の解釈が示されて、明確に否定されないまま終わるような
作品もあったりして、ますますあやふやで確信なんて出来なくなっちゃう。
 
きっちりと白黒付ける明快な論理で謎解きが示される、
そんな本格ミステリをこよなく愛する自分には、不向きな作家だったかも。
 
そんな中でのベストは、悩まず巻末の二作品「巨星」「島」だな。
イデア自体を雰囲気のある作品には仕上げてはあるものの、
物語性自体はそんなに高くはない本書の収録作の中では、
群を抜いて、読み物としての面白さを持っている。
 
それでいてなおかつ、ハードSFとしての完成度の高さも
群を抜いているもんだから、圧倒的にこの二作が傑出している印象。
 
どちらかをベストに選ぶとしたら、これも迷わず「島」の方。
極端すぎるほどの圧倒的な知的生命体の造形、
永遠に等しい時間軸をベースにした、親子やAIなどの関連性の葛藤、
これらいくつもの要素が濃密に描かれた秀作。
 
第三位は悩むところだけど、人類という種が下等なものとして描かれる様(さま)に
卑屈な愉しみを覚えることが出来る「遊星からの物体Xの回想」かなぁ。

ジグソーパズル48

ジグソーパズル48

ジグソーパズル48

 
タイトルの48って何だろうと思って、そうか、各短編の数字の合計だな、と気付いて、
一人ふふふってほくそ笑んでたら、なんと表題含めて全部がAKBの曲名だったとは。
そっちの意味でも48だったのか。
「GIVE ME FIVE」 はそうだよなと気付いてたけど、他も全部とは思わなんだ。
なんか登場人物名も結構もじってあるらしいんだけど、気にせず読み飛ばしてたよ。
一時期は結構把握してたんだけどなぁ。
 
ただAKBモチーフであろうが、表紙がポップであろうが、
中身はそんな雰囲気とは、全く相容れないような、ゴリゴリのパズル小説。
解き味はミステリと云うより、ホントにパズルそのものってのも多い。
イニシエーション・ラブ」だけ読んでて、ジャケ買いした人は戸惑ったかも。
ただまぁナゾトレや脱出ゲームに馴染んでる世代は、普通のミステリよりついてけるのかも。
 
私自身はミステリもパズルもどちらも大好物なので、本書の採点は7点。
 
ベストは「マルキュー」だな。着想がぶっ飛んでて、実にパズル的。
それでいてわかりやすい実例が伏線として機能してるので、納得させられてしまう。
 
第二位は年間ベスト本で既読の「ラッキーセブン」。完全なゲーム小説。
ゲーム開始させる女の子がマジキチ過ぎるので、 不快感を覚えるのが難点。
 
第三位は「女の子の第六感」で。文字に関するナゾトレだね。

ブレイン・ゲーム

TSUTAYAの新作・準新作5本1,000円で鑑賞。

 
≪名優アンソニー・ホプキンス主演&製作総指揮!2大スター俳優が火花を散らす、熾烈なる頭脳戦。
 相手の一手二手先を制し、未来を読み勝て!≫ 
 
この惹句にまんまと惹かれてしまった私がいるよ。
 
未来を読み通せる超能力者同士の頭脳戦。
上手くすれば、ジョジョデスノートのような頭脳戦が見られる可能性もあるかもと、
どうしても期待感は高まってしまうが、さすがにそこまでのもんは全く無かったな。
 
思ってたよりも、はるかに地味~~な展開。
結構なカーチェイスとかはあったりもするんだけど、本筋とはちゃうし。
 
そんなアクションとか、心理戦・頭脳戦と云うより、
とある概念を受け入れるかどうかと云う、”戦い”ではなく”問いかけ”。
 
未来を知り通せる超能力者であるが故の苦悩、ジレンマ。
 
原題は「Solace」で、「慰め、安堵、癒やし」といような意味らしいから、
たしかにそっちの方がこの映画の本質を表してもいるんだけど、
騙されちゃうこの邦題と売り方の方が、商業的には正しいんだろうって気もするよ。
ただ、結局は”騙し”に過ぎないけどね。

スウィンダラーズ

TSUTAYAの新作・準新作5本1,000円で鑑賞。

スウィンダラーズ [Blu-ray]

スウィンダラーズ [Blu-ray]

 
コン・ゲーム物なので、事前知識はあまり持たずに観られた方がいいです。
 
完全ネタバレ無しで感想の要約だけ書いておくと、
完全に騙されたいという期待感であれば、あまりお薦めはしないかも。
個人的には非常にわかりやすい部類の作品だと思ってしまった。
手練手管が愉しめればいいという期待感であれば、かなりお薦め。
この辺はとっても痛快で、相当に気持ちの良い作品だと思う。
 
以下は同じことを書いてるんだけど、内容を推測出来てしまうような記述になってると思うので、
ここから「続きを読む」に入れておきます。
この頁の開き方によっては表示が出ないので、数行空けておきます。未見の方はご注意を。

続きを読む

万引き家族

TSUTAYAの新作・準新作5本1,000円で鑑賞。

 
どう受け止めれば良いのか、難しい気がした。
 
普通に考えれば、家族という繋がりが現在抱えている様々な社会問題
児童虐待問題、貧困問題、年金不正受給問題、など)を
あえて繋がりの無い”疑似家族”というものをベースに描き出した作品、
という解釈になるのだろう。
 
でも、それでは主張が無い。
 
尋問シーンでの安藤さくらの台詞
「捨てたんじゃない、拾ったんだ。捨てた人は別にいるんじゃないですか」
本編中もっとも心を揺さぶるこのシーンは、何かを訴えているように思う。
 
リリーが「お父さん」と呼ばせたがっているように見えたり、
「おじさんに戻るよ」という台詞の中にも、何か別の、
あるいはひょっとしたら共通なのかもしれない主張も感じられる。
 
これらは疑似家族をベースに、現代の家族問題を描いたというのではなく、
疑似家族であることの、この映画としての必然性を示しているように思えたのだが、
残念ながらそこを自分が読み取ることは出来なかった。
 
是枝監督には未見だが「そして父になる」という作品もある。
血の繋がった家族と、育ての家族。
どちらを選ぶのかという作品だと思うのだが、どちらが選ばれたのか知らない。
それを知れば、ひょっとしたら本作を読み解くヒントになるのだろうか。
 
ネットでネタバレ探してみようかとも思ったけど、まぁやめておこう。
自分にとっては解釈出来なかった作品ということでいいや。
知ったら知ったで、また悩むということにもなりそうだし。
 
そういえば「海街diary」だって、ある意味家族と疑似家族との物語だったな。