新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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万引き家族

TSUTAYAの新作・準新作5本1,000円で鑑賞。

 
どう受け止めれば良いのか、難しい気がした。
 
普通に考えれば、家族という繋がりが現在抱えている様々な社会問題
児童虐待問題、貧困問題、年金不正受給問題、など)を
あえて繋がりの無い”疑似家族”というものをベースに描き出した作品、
という解釈になるのだろう。
 
でも、それでは主張が無い。
 
尋問シーンでの安藤さくらの台詞
「捨てたんじゃない、拾ったんだ。捨てた人は別にいるんじゃないですか」
本編中もっとも心を揺さぶるこのシーンは、何かを訴えているように思う。
 
リリーが「お父さん」と呼ばせたがっているように見えたり、
「おじさんに戻るよ」という台詞の中にも、何か別の、
あるいはひょっとしたら共通なのかもしれない主張も感じられる。
 
これらは疑似家族をベースに、現代の家族問題を描いたというのではなく、
疑似家族であることの、この映画としての必然性を示しているように思えたのだが、
残念ながらそこを自分が読み取ることは出来なかった。
 
是枝監督には未見だが「そして父になる」という作品もある。
血の繋がった家族と、育ての家族。
どちらを選ぶのかという作品だと思うのだが、どちらが選ばれたのか知らない。
それを知れば、ひょっとしたら本作を読み解くヒントになるのだろうか。
 
ネットでネタバレ探してみようかとも思ったけど、まぁやめておこう。
自分にとっては解釈出来なかった作品ということでいいや。
知ったら知ったで、また悩むということにもなりそうだし。
 
そういえば「海街diary」だって、ある意味家族と疑似家族との物語だったな。