新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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私雨邸の殺人に関する各人の視点

 
クローズド・サークルの多重解決もの。
 
なんだけど、全部が稚拙でぎこちない。
 
いかにもミステリ・プロパーでない人の書いた、見よう見まね作品に思えた。
とにかく必然性の無いことばかり。
トリックなんて、今どきこんなもんをと、あきれてしまうような幼稚さ。工夫もなんも無し。
それだけに逆にはじめから想定にも入らないという、逆説的な効果を生み出してはいるけど。
でも、絶対それって、狙ってやってることじゃないと思う。
 
「適当」だけで作られた事件であり、作品って感触。
ああ、「適当」って「妥当」な方の真逆の意味もあるか。
じゃあ、表現を変えて、「いい加減」だけで作られた事件であり、作品って感触。
ああ、こっちも「良(い)い加減」っていう、真逆の意味もあるか。
 
多重推理も一つ一つの説得力も薄く、ああ、これが真相だ、とか思わせてくれない。
最後の真相だって、その例外とも言えないレベル。犯人が自白するから真相に固定されるけど。
 
多重推理ものの爽快感、カタルシスには全く至らない作品。
 
そういうものだってだけで、批判するような作品ではないので、採点は6点。
(6点未満は基本的には、批判的な意味でしか、付けることはないから)