滅びの掟 密室忍法帖
山田風太郎の「甲賀忍法帖」をミステリ的にあり得る形で
具現化しようという試みなのかと私には感じられた。
ただ、じゃあ、それが面白い方向に働いているかと言うと、
そうじゃ無いよなぁと感じてしまうのが正直なところ。
奇想トリック系ではあるのだけど、大工仕事だったり、
現象を面白くさせるだけの無理矢理系だったりと、
なんとなく無粋に感じられるんだよなぁ。
ミステリにしようということ自体が、
逆にそういう印象を与えてしまっているという矛盾。
これならファンタジーなまま受け止めればいい
忍法帖の方がはるかに面白さを感じられる。
全体を貫くホワイダニットも、忍者合戦だけについて言えば
それなりに説得力があるのだけど、里に関しては、
かなり奇をてらっただけのように思えてしまったりもしたし。
試みは興味深かったが、思ったほどの効果が感じられず、
逆効果にも思えてしまったわけなので、採点は6点。