兇人邸の殺人
さすがに三作連続で傑作とまではいかなかったな。
ミステリとしてのロジックは相変わらずちゃんとしてるので、
本格としての精度は高い。
それはそうなんだけど、館の構造があまりにも複雑すぎて、さっぱり頭に入らず、
自分で考えてみようかという気に一切なれないのが難。
なので、解明されても「ふ~ん」という感触になってしまう。
(以下、ネタバレにはならないつもりけど、どういうところにネタがあるよってことは
書いてしまってるので、気にする方はご注意を。なので、少し空けます)
ただ、この特殊設定だからこそ成立する首無し死体トリックの新機軸には
感心させられた。これがあるから充分佳作以上のレベルには達していると思う。
また、奇をてらったホワイダニットも狙いだろうが、説得力は薄く、不発だったかな。
巨人側のホワイダニットは意外に良かったんだけどね。
そこにも通じるわけだけど、この部分の物語性が描かれているのは乙だった。
その分、斑目機関のクリーチャのミステリとしての外連味は弱かったけど。
ただ、それでもロジックにはしっかり組み込まれているし、
クローズド・サークルの必然性にもなってるってとこは、やっぱ凄いか。
7点にするつもりだったけど、こうして書いてるうちに、この趣向で三作続けてるとこや、
首無しの新機軸など、改めて考えると評価UPすべきかと思えて、8点に昇格。