ラザロの迷宮
なるほど、こういうやり方か。
以下の感想ですが、勿論、明確には書かないですけど、
勘の良い方には、充分読めてしまう部分があるかもしれません。
これから読もうと思っていらっしゃる方は、
以下は読まずに本書に向かわれた方が良いと忠告させていただきます。
本書の基本的な構造は、実は作者の発明ではない。
ミステリ映画好きであれば、観たことがある人も多いだろう
初心者向けミステリ講座(映像編)にも選んでいる「アイデンティティー」である。
ある意味、結構そのままと言ってもいいくらいの相似形。
犯人の設定まで含めて。
それなのに、なかなかそうとは気付かせない。
それはきっとあらかじめミスリードが仕込まれているから。
あからさまかどうか逡巡するくらいに仕込まれたコレが上手く機能して、
その先への読者の思考を遮断する役割を果たしているんじゃないかと思う。
だからこそ、P377の逆転の一言が、どんでん返しとして響くのだ。
このやり方が上手かった。更にここにとどまらず、
最後のどんでん返しまでバッチリと決めてくれたおかげで、
パクりとは言えないオリジナリティを充分生み出すことに成功している。
なかなか見事なお手並みだろう。採点は8点とする。