新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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夢魔の牢獄

夢魔の牢獄

夢魔の牢獄

  • 作者:西澤 保彦
  • 発売日: 2020/08/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 
むっちゃアンモラルな話で、読んでて不快になる。
 
お得意のSF新本格(主に初期)かと思いきや、
SF的趣向の面白みも仕掛けも全然無かったし。
 
それでもミステリ的には報われるんだろうなと
期待しつつ読み続けたんだけど、かなり微妙。
 
この手の話で、読者に驚きをもたらすとしたら、
こう落とすんだろうなと、とても褒められない蓮っ葉な
読み方をしてしまった自分が悪いんだろうけど。
 
たしかにそう落ちたんだけど、納得感は薄い。
 
真相が解き明かされても、すっきりした~、ってな気分にはなれない。
結局不快感は更に高まっただけで終わってしまうし。
 
そんなとこまで伏線だったの~、という驚きはあったけどね。
嫌疑外に置かせるミスリードはこう作用してたのかぁ~、
というテクニックも見せつけてくれた。
 
けど、やっぱ、ミステリって、驚きの意外性だったり、
奇想のぶっ飛び具合だったり、論理の切れ味だったり、
いろいろもつれ合ってたものが、綺麗にスパッとまとまったり、
それらがもたらしてくれる、すかっとした爽快感を求めているところが
自分としては大きいと思うので、
(たとえ厭ミスにだって、良作には何かしらそういう要素があるもの)
それらを全部台無しにするくらい不快な作品を好きにはなれないな。
 
採点は6点。期待の裏切られ感からしたら5点に近いかも。