新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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パッション

ブライアン・デ・パルマ監督作品。
 
往年の「殺しのドレス」の雰囲気に非常に近いサスペンス映画。
でもって、やっぱりデ・パルマ節炸裂っ!!! 
監督当てのクイズ出されたら、みんな当てちゃうだろうっての。
 
ヒッチコックは女性を綺麗に撮るのが上手かったけど、
デ・パルマはそれに輪をかけて、エロティックに撮るのに長けている。
パッケージにもなってるソファで電話かけてるシーンの妖艶さと来たら……
夜伽の相手を探し回ってるだけの映画的にはあまり重みの無いとこにも関わらず、
下手すりゃここだけでも観る価値があると思えるくらい。
 
勿論、それだけじゃなくて、カメラワークとかアングルとか視点の使い方とか、
肝心の殺しのシーンの笑っちゃうくらい堂々としたスプリット・スクリーンだとか。
 
プロットやストーリーや意外性とかはみんなそこそこだけど、
デ・パルマを観る愉しみを知ってる人ならば、きっと報われる作品。
 
最後の夢落ちはよくわからんかったけどね。
特に埋葬のシーンの解釈がね。
人物設定とか考えると、そこも含まれてるように思うんだけど、
そっから全部ってわけではなさそうだから、そういう取捨選択はちょっとなぁ。
ってことで、ミステリの整合性にこだわる派の自分としては、
埋葬シーンは現実で、夢落ちはラストのシーケンスのみって方に一票!