TSUTAYAの新作・準新作5本1,000円で鑑賞した作品、これで最後。
- 発売日: 2020/03/03
- メディア: Blu-ray
ポスターには(このジャケ写でも読み取れるが)
「誰が殺したのか? なぜ殺したのか?」と
まるでミステリ映画のような惹句が書かれているが、
この映画にとって、そんなところは全く重要でも何でも無い。
(そもそも「なぜ」の回答なんて、この映画内では示されていないし)
ギャンブル依存症のクズ男と、その周りとの関わり方を、
“暴力”をキーとして描き出した作品、なんだと思う。
これを香取慎吾に演じさせてるってのがキモだろう。
彼も充分その期待に応えている。顔と身体で全力で語っているよ。
台詞になるとやはり軽さが現れて、拙く感じることもあるんだけど、
台詞自体が極端に切り落とされているので、阻害するほどではない。
特にボロボロになった後の、歩きながらの泣きのシーンは哀切で響く。
見終わった後からもじわじわと来る、映画として秀作だと思うが、
ただ、このギャンブル狂のクズっぷりが、
どうしても自分には最後まで受け容れられなかった。
普段の人の良さや優しさは、きっちりと滲み出ているんだけど、
周りがどうしてここまで彼を救おうとし、あるいは彼に頼ろうとするのか。
ここが結局すんなりとは自分の中に入ってこなかったので。
希望がほのかに見えるようなラストシーンの描き方だったけど、
今回の件は結局彼にとっては”成功体験”でしかなく、
だとしたら絶対に抜け出られるはずはないだろうとも。
待ち望んだ凪がやってきたのではなく、
新たな嵐の前の静けさにすぎないのではないかと。