新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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コクリコ坂から

01/11 日本テレビ放映分。原作読み終わったので、ようやく封印を解いて見てみた。

コクリコ坂から [DVD]

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おお、原作と全く違う。
こりゃあ、原作読まずに見た方が良かったな。
原作読んでると、ええ〜、これがこうなっちゃっうの〜、そりゃ、ないよぉ〜、
なところが一杯あって気になっちゃう。
 
でも、まぁ、これはこれで良かったと思う。
 
特に、服装の自由化じゃなくって、カルチェラタンの改築に
しちゃったのは、成功していると思う。
時代は違えど、サークル棟の雰囲気が心地良い。
それに改装シーンの楽しさが、映画にメリハリを与えてくれてる。
(まぁ元々賭け麻雀の借金なんてのがそのまま描けるはずもないのだが)
 
人間関係の整理は一長一短かなぁ。
ポイントを絞るためか、すっきりと削られてるけど、削られすぎ。
その分、兄妹関係の裏付けがしっかりと描き込まれてた。
これ、きっと宮崎駿氏が、原作の曖昧な処理に不満があったんだろうな。
しっかりと補完されてた。
 
全体の雰囲気としては、原作の懐かしの少女漫画風味は消されて、
三丁目の夕日」みたいな、昭和ノスタルジー風味に置き換わってた。
 
この雰囲気の話と、人間関係の整理の話、その双方に繋がるんだけど、
原作の持つキャラの魅力が、ほぼ完璧なまでに削ぎ落とされてる。
これが比較で捉えると、映画側の最大の欠点じゃないかと思う。
 
海の明るさなんて、微塵もない。
風間くんのやんちゃさも全く消されてる。
これじゃ冒頭の飛び降りシーンが全く無意味になっちゃってるよね。
長澤まさみの低調な一本調子もあいまって、メリハリのない
単なるいい子ちゃん同士の地味〜な恋愛話になっちゃった。
しかも、いい雰囲気になる前に、兄妹話になっちゃうわけだしさ。
(シナリオ的にはここが一番の不満箇所かな)
 
オリジナルキャラの哲研部長はいい味出してたけど、
他のキャラの個性はすっかり無くなって、ただのいい人の集まり。
画の描き分け(特に成人男性)も、いまいちわかりにくかったと思う。
 
しっとりとした話にしたかったのかなぁ。
でも、もっと生き生き感が欲しかったなぁ。
話としては良くなったけど、キャラは死んじゃった。
原作の不満を直すのはいいけど、原作の良さは活かして欲しいよ。
軍配は映画に上げてもいいけど、もっと差は付けられたんじゃないかと思う。
 
ところで、一つ気になって、引っかかったままになってしまった点。
理事長が海に意味ありげだったのは、一体何だったんだろう?