新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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ボーン・コレクター

09/26 テレビ東京放映分。

世に出す作品ことごとくが、これだけの大ベストセラーとなり、
その作品自体も非常に映像的なものばっかりだったりするのに、
何故リンカーンシリーズの映画化がこれだけしかないのか。
(シリーズ外作品にしたって、「静寂の叫び」を原作とした、
ジェームズ・ワンの作品じゃない方の「デッドサイレンス」しかない)
 
この映画を見て、その理由の少なくとも一つは理解できた。
 
原作の圧倒的な情報量が映画という尺にはとうてい収まらないのだ。
 
ミステリにパラダイム・シフトをもたらしたとも思える
最先端科学捜査技術とエンタメ性との融合。
ここからエンタメ性だけを抜き出そうとしたって、
どうしても表面なぞっただけのように思えてしまうのだろう。

デンゼル・ワシントンアンジェリーナ・ジョリーを起用し、
映画としては無難に非常にまとまって作られているのに、
原作の面白さを全然表現し切れていない。
 
シリーズ中でも唐突感の強い犯人っていうのも不幸だったな。
意外性というより、お前誰って感じで、観客冷めちゃったと思う。
 
原作は二作目以降もっともっと面白くなって、
(伏線は相変わらず少なくても)意外性はもっとマシマシになっていくのになぁ。
このラストでは続編映画への期待感を持たすことは出来なかったろう。
 
何話かかけて描くドラマ化の方が向いてる原作なんだと思う。