新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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容疑者Xの献身

03/19 フジテレビ放映分。

容疑者Xの献身 ブルーレイディスク [Blu-ray]

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原作の感想で書いたことだが、この作品の一番凄いところは、
倒叙”という仕組みを、極めて巧みに”本格”に組み入れている、
という点にあると私は思っている。
 
誰が犯人か、読者・視聴者・観客はみんなわかっているというのに、
それでいて、謎解きの愉悦や意外性を味あわせてくれるのだから。
 
「○○に見せかけた××」というのは、本作のキモであるが、
構造自体も「倒叙に見せかけた本格」と言えなくもないと思う。
 
また本作の謎解きは、それが動機や感動に直接結びついているという点も、
非常に優れているところだと思う。
 
だから、元々映画向きの作品であると言えるのではないか。
 
それに応えて、映画としても充分に良い作品だったと私は評価したい。
 
堤真一もどうかなぁとは思ったんだけど、ラストの演技がとてもリアルに感じられて良かった。
 
満足できる邦画だったと思う。