新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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サーモン・キャッチャー

サーモン・キャッチャー the Novel

サーモン・キャッチャー the Novel

個人的に道尾秀介は、動物名入り作品と、そうでない作品を、
意図的に書き分けてるんじゃないかと思ってたりする。
 
動物名作品は比較的初期からの作風に則った形で、
非動物名作品は若干純文学に寄せた方向で。
 
で、こちらは前者に当たるので、最近の中では結構愉しく読めた方。
 
意外性とかツイストはそんなに無いんだけど、
みんながみんないろんな線で繋がってるという、構図の面白さ。
設計書作ったら、いろんな線がいっぱい交差してそう。
 
あと欠かせないのは、なんといっても、このヒツギム語。
これ考えてるときの道尾さん楽しかったろうなぁと、
その姿を想像するだけで、なんだかニヤニヤできてしまう。
 
なんで普通に「カープ・キャッチャー」じゃなくって、
この題名なんだろうってずっと思ってた。
サーモンなんか全然出てこないのにさ。
まぁ広島の捕手の話と勘違いされて、スポーツ関連図書の方に
置かれる懸念を感じたからかとも思ったが、最後の一行でニヤリ。
 
全編に渡って、このニヤニヤ感が楽しめた作品。