新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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64(前篇)(後篇)

64-ロクヨン-前編 通常版Blu-ray

64-ロクヨン-前編 通常版Blu-ray

64-ロクヨン-後編 通常版Blu-ray

64-ロクヨン-後編 通常版Blu-ray

圧倒的な重量感を持つ原作を
前後編の構成で、相応の重みで描き切った力作。
さすがにこの原作を越えることは不可能だが、
映画化としては充分に満足できる作品だったと思う。
 
佐藤浩市を初めとする俳優陣の好演が、
その印象を支えてくれてるんだろうな。
 
ただやはりこれは人間ドラマを見せることを主眼に置いた映画という媒体。
となると、対象がもっと幅広い一般向けになってしまうので、
ミステリ映画にはしないという割り切りがされちゃってる。
 
あの、Whodunit, Whatdunit, Whydunit が一度に訪れる瞬間という
ミステリ読者冥利に尽きる最高級の驚きはここにはない。
 
伏線というレベルではなくて、答と言ってしまっていいほど、
しっかりと描かれてしまってるので。
 
別筋と思ってたものが、急に本筋に絡んでくるという
ミステリの醍醐味までは味わえなかったのが残念だが、
映画単体としては良質の作品だったと思う。
 
ミステリファンならば、原作の方が断然オススメだが。