- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/05/29
- メディア: 単行本
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これが「好きな作品か」と問われれば、少しうつむいてしまう。
この二つの問いは、それぞれ”理性”と”感情”に対応している。
理性で本書を捉えた場合、やはり本書は不足している。語られていない部分を自分で補うことは出来ない。
上下巻完結だと思ってたら、違うのだな、これは。完結ではない、Book3に続くのだろう。
感情で本書を捉えた場合、少なくとも揺さぶられるものはないだろう。元々そういう作家でもないと思うし。
ちょっと非日常に入るために映画鑑賞してるような感覚で、感情移入なんかとは別次元で味わう作家だと個人的には分類してる。
だけど”感情”ではなく”感覚”というような領域では、やはり好きな作家なのだ。
あの格好いい文体は、本書ではさほど感じられない。久しぶりに読んだがなんだか凄く落ち着いた印象になっていた。
でも矢張り心地良い。理性も感情も決してうなづけるものではないのだけど、それだけは自分にとっての真実なのだ。
しかし、このわかりにくく感動的でもない話を、ベストセラーとして受け止めた人々は、どう自分の中で処理したのだろうか?