新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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狼の契約

作者の方より直接連絡を受けて、贈っていただいたもの。どうもありがとうございます。
ストーリー紹介等詳細は、こちらのページをご覧下さい。
 

狼の契約

狼の契約

民話系ホラーな導入部から、近未来SFにおける裏社会描写、世界を転回させるミステリ的展開を経て、カタストロフィへと導く、ジャンルごった煮な作品。強引に分類すれば、SFホラーが一番近そう。とにかく裏モノ・ガジェット満載で、あまり健全な読書体験とは言えないかも。__フィリアに当てはまる言葉を即座に二つ挙げられる人向け(笑)。
ミステリとしての趣向で云えば、二つのサプライズのうち一つはわかりやすかったかなと思う。ありがちといえばありがちだし、ある意味伏線だらけの描写でもあったし。もう一つのサプライズはミステリとして気が利いてる雰囲気ではあるが、説明し切れていないところが惜しい。したいしょうしつの謎やれすびあん・くらぶの描写に必然性が感じられなかった。このあたりの説明・伏線が納得できる範囲で提供されていれば、もっと強い印象を与えられたんじゃないかと思う。
それでも、そういう二つのサプライズで読者の先入観を突き崩し、世界を転換させようという意欲は嬉しく感じられる。
全体的にはノワールの筆致で、SF・ホラー・ミステリ・ファンタジーの要素を、全て取り入れた作品。
それでありながら、テーマは「愛」。
 
上記サイトの物語紹介が詳しいため、自分に合うかどうか判断しやすいと思う。興味ある方は、ご確認の上、ご購入お願いします。
……と、本を頂いたのでちょっとだけ宣伝モード。