新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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疑惑の占星術

密室で目を覚ました男女5人。目の前には天井から吊された死体。体には覚えのないバーコード。犯人はこの中に!? 殺人ゲームが幕を開ける。

「SAW」以来、映画界ではソリッド・シチュエーション・スリラーが目白押しなのだが、残念ながら単なるエピゴーネンばっかりで、まともなものは数えるほどしかなさそうだ(ほとんどは評判だけでの判断だけど)。
まだ日本ではさほど多くの追随者が出ている気配はないが(ミステリ界だと矢野龍王なんだろうけど、狙いは必ずしも一致していない)、1.のこの惹句を見る限り、もうまるっきりSAWシリーズそのまんまの世界だよね。いよいよ日本でも本格的にこのジャンルに挑もうとする作り手/作品が現れてきたってことなんだろうな。
映画作品のことごとくが陥っている、グロさの猿真似onlyな頭の悪〜い作品じゃなくって、やられたっていう智的なカタルシスを、少しでも味あわせてくれれば嬉しいんだけどなぁ。期待せずに期待して(という複雑な心境で)、取りあえず購入。
2.はノリリンの久々の短編集となれば、本格者としては絶対に見逃せない。収録作は「ゼウスの息子たち」「ヒュドラ第十の首」「六人の女王の問題」「ギリシャ羊の秘密」「鏡の中のライオン」+1編。