新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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「ミステリ経験値・暫定まとめ」について

昨日言及したミステリ経験値のまとめをtomo-sくんがやってくれている。正規分布じゃなくて、比較的”濃い”人の山と比較的”薄い”人の山なのか、二つの山が綺麗に出来上がっているのが興味深い。統計的にはこういう場合(母数がそう多くはないので一概には言えないが)、複数の係数が必要となる(つまりは要因が一つではない)ということだと思うのだが、ひょっとすると意外にコレは日本ミステリの歴史を象徴しているのかもしれない。
国内ミステリの盛衰には、少なくとも一つの大きな不連続帯がある。「新本格のムーブメント」とここでは表現しておこう。これをきっかけにミステリ・ブームと出版点数の増加が飛躍的に広がったと私は感じている。世界が広がれば、読者自身の幅も相対的に広がるかと一見思えるのだが、必ずしもそうではないのだ。むしろ逆なんじゃないかと思う。ある狭い範囲でも継続的に供給が与えられるのなら、それ以上に手を出す必要がないのだから。世界が狭ければ、必然的に別の世界へと手を伸ばさざるを得なかったのに。
そういう意味で、新本格以前の世代と、以降の世代とでは、ひょっとしたら手を伸ばすことへの貪欲さに、有意の差があるのではないだろうか。ネットの比較的初期から接続している人間は当然前者の世代が多く、そういう人物構成が(自分を含めて)31〜35の大きな山を、正規分布ではない不連続性で支えているのではないだろうか。
年齢やネット歴の情報を知らないままでっち上げた勝手な空論だが、なんとなくオンラインなミステリ者の分布にも似たような傾向を感じているので、ちょっと意見表明したくなった次第。だから当然コレは全然見当違いなのかもしれないけど、それはそれで、分析したら結構面白い傾向が見えるような気はするね。