
- 作者: 鵜林伸也
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2018/10/31
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
それがしっかりとミステリと結びついているという、結構珍しいタイプの作品。
ヴァン・ダインの「カナリヤ殺人事件」での有名なポーカー・ゲームのように、
一緒にロックを演奏することが犯人絞り込みの根拠になるという、
滅多にお目にかかれない手法さえ使ってくる始末だ。
それらが単に奇をてらってたり、色物勝負ってわけじゃなくて、
意外に本格ミステリとしてちゃんとしているのは高評価ポイント。
ただ、絵空事の人工的本格ミステリ世界ではなくて、
現実世界にしっかりとベースを置いてる作品なのに、
警察の捜査があまりにもないがしろにされてるのは気になった。
一度も事情聴取されてないなんて絶対あり得ないのに、そういう風にしか捉えられない。
「事情聴取疲れたね」ぐらいの描写をちょいと入れといてくれるだけでもいいのに。
ただまぁ現実的に言えば、主要人物全員長時間の取り調べでヘロヘロになってて、
犯人は二日とかからずゲロしてて、第二の事件なんか起こってなかったと思うけどね。
このミステリ作品上では最後まで伏せられてて、最重要ポイントだとさえ思えるのに、
こんな動機なんかすぐばれてるに決まってるやん。
それでも本格ミステリとしての手筋は整ってると思うので、採点は7点。