新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

SFマンガ傑作選

 
収録作は手塚治虫「アトムの最後」、筒井康隆「急流」、松本零士「ヤマビコ13号」
萩尾望都「あそび玉」、石ノ森章太郎「胎児の世紀」、諸星大二郎「生物都市」
竹宮恵子「ジルベスターの星から」、山田ミネコ「冬の円盤」、横山光輝「昆虫惑星」
佐藤史生「金星樹」、佐々木淳子「リディアの住む時に…」、
高橋葉介「ミルクがねじを回す時」、水樹和佳子「樹魔」、星野之宣「残像」の全14編。
 
巻末の解説(「SFマンガ史概説」として書かれていて、これだけでも必読と言えよう)で
最初に語られているように、本書はさすがにオールタイムベストの選集ではない。
黄金期の70年代を中心に、メジャー作家の名篇を選んだもの。
隠れた逸品の発掘でもないため、自分でも半数は既読作品だった。
 
有用な起点を示すものというのも選考基準に挙げられているのも納得の、
里程標となるような傑作ばかりで、SFファンにとっても、マンガファンにとっても、
必携の名アンソロジーと称して良い作品集だと思う。
 
そんな傑作揃いの中からベスト3を選ぶのもおこがましい気もするが、いつもの恒例なので。
 
ベストはタイムトラベルではないタイプの時間物ロマンスの傑作、佐藤史生「金星樹」で。
第2位は宇宙開拓の悲劇やロマンスを叙情的に綴った竹宮恵子「ジルベスターの星から」で。
第3位は太古の地球というハードSFから感動に繋がっていく星野之宣「残像」で。
次点は萩尾望都「あそび玉」と水樹和佳子「樹魔」かな。