魔性(ばるぼら&I.L)
先日「I・L(アイエル)」の感想上げたばかりだけど、
よく考えたら、こっちに丸々含まれてたよ。
なので、こちらでは「ばるぼら」の方の感想のみ。
こちらは割と首尾一貫している。
ただ前半と後半では、だいぶカラーが違う。
前半は主人公と様々な女達(とはいえむしろ人間は少数派)との
奇妙な恋愛関係を描いた作品達で、短編集としての様相。
ところがターニングポイントとなる第6章「黒い破戒者」を経て、
第7章「狼は鎖もて繋げ」以降は、ばるぼらを巡る長編という様相を示す。
作品としての結構はしっかりしてるので、「I・L(アイエル)」のような
失敗作感は少なく、まとまりの良い作品に思える。
エンタメ性としては、あちらの方が上ではあるのだけど。
ただミューズ(詩神)という設定と、黒魔術との取り合わせは合わなく感じられた。
具体的な呪物とかじゃなくて、怪しい雰囲気だけに収めて欲しかったな。
”芸術=狂気”というところを象徴しているのだろうとは思うものの。
短編集とは違うので、一番好きな章だけを選ぶとすれば、
第5章「砂丘の悪魔」だな。