I・L(アイエル)
手塚治虫の大人向け作品。
ちょっと散漫で、すっきりしない感の残る連作集。
吸血鬼という設定も全然活かされてないし、
男主人公の方は影が薄くて、存在感が無さ過ぎる。
こちらもまた映画監督という設定が有効に働いてない。
おそらく当初漠然と考えられていたであろう方向性には
進まなかったんだろうなと思える作品だった。
テーマに一貫性はないのだけど、政治ネタが多かったり、
ミステリっぽい作品が多かったりと、妙な偏り方もしたりして、
なんか読んでて落ち着かない気分にさせられるせいもありそう。
ベスト3は順不同で、
純愛物(なのかな?)には少し心を惹かれてしまうので、
「メッセンジャー」と「マネキン」を選択。
もう一作はロアルド・ダールの同タイトルとは全く無関係だけど、
依頼の内容からラストまで突飛さがユニークな「南から来た男」で。