手塚治虫怪奇短編集1 異次元世界の恐怖編
短編集と銘打たれているけど、本書の2/3近くは一つの中編で占められてるので、
『「日本発狂」とその他7編の短編』という中短編集という趣だな。
その中編は「高一コース」に一年に渡って全四章で連載された作品のようだ。
幽霊や死後の世界やUFOなどに、新解釈を与えるアイデアストーリーで、
アイデア、展開、スケールのいずれも壮大で、なかなか読み応えのある作品だった。
本書中圧倒的なボリュームを占めてるわけだし、まぁこれをベストに選ばざるを得まい。
残る7短編のベストは唯一の既読作だった「SFファンシーフリー そこに指が」だな。
やはりこのラストのメタ趣向をやってのけるところが凄い。
短編の次点は「ぐうたろう千一夜-異次元教室」かな。
「中一時代」に掲載された作品で、わかりやすい異次元譚になってる。
ところで、解説のはやみねかおるのトラウマになってる作品は、
明らかに「新・聊斎志異 お常」だな。間違いない。