九人の偽聖者の密室
別冊宝石で持ってはいる(いた、かな?)けど、多分未読だった作品の新訳。
全く同時期に(数日違い)扶桑社文庫から、旧訳の方の
「密室の魔術師 ナイン・タイムズ・ナインの呪い」が出版されるという、
なんか大人の事情の闇が見えるようで怖くなっちゃったのは、私だけではあるまい。
ホックが主催する歴代密室ミステリ・ベストテンにも選出された、
ってのが売り文句だけど、納得出来るほどの出来映えの作品ではあるまい。
トリック自体は結構な子供だまし的なもの。
金田一君のようなミステリ漫画で読みたい類のトリック。
まぁ状況の設定がユニークなので、割と愉しくは読めるけど。
全体的にやはり古めかしさは感じてしまうけれど、
カーに捧げられてるだけあって、密室講義や密室トリックだけじゃなくて、
こういうロマンス仕立てのところも、心地良さは感じてしまう。
これが最近の国内物だったら、せいぜい7点止まりの作品だけど、
こういう心地良さと海外物バイアスで、採点は8点ということで。