流浪地球
劉慈欣の同時発売短編集二冊の内の一冊。
SFのロマンチシズムに満ち満ちた作品集だと私には思えた。
宇宙テーマを扱った作品が多いのも、その理由の一つなのだろう。
はるか遠い世界へと向けた視線。
限界を超えていくスケール感。
やはりSFとはセンス・オブ・ワンダーと、ロマンなんだと、
改めて感じさせてくれた。
そういう意味でも、自分のベストは「中国太陽」だな。
教育レベルの低い下層階級の主人公が、こんなところまで到達し、
こんなスケールの着想に至る。SFのロマンのなんたるかを知ることの出来る傑作。
第二位は「山」だな。
ある意味バカSF的でもあるんだけど、更に異星の物語が驚異的。
そして最後にはどでかすぎる奇想まで見せられては、もう驚嘆しかない。
第三位はその時々の気分で選ぶ作品が変わりそう。
勿論表題作は欠かせない。大元の壮大な着想がロマンだ。ただ前例はある。
正真正銘の最後のガリバーとなって、人類の未来を知る「ミクロ紀元」もいい。
まさしくバカSFの「呪い5・0」を選びたくなる日もあるかもしれない。
だけど、今回は「呑食者」を選ぶことにしよう。
「三体」的な展開も良いが、やはりこのラストの締めくくり方。
ある意味究極のロマンに身を捧げる、そんな作品なんだもの。