新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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村上春樹の短編集って、相当久しぶりに読んだ気がするな。
Wikipediaで短編集の出版履歴見てみたけど、おそらく90年の「TVピープル]以来で、
久しぶりというより、30年以上振りだったようだ。長編は結構読んでたのにな。
 
30年以上のギャップがあったせいか、今一つ乗り切れなかった。
それはきっと、書き手としての村上春樹の変化がもたらしたわけではなく、
読み手としての自分の年齢の差異が、生み出した違和感のようなものなのだろう。
 
とにかくカッコいいと思ってた村上春樹の文章の、特徴的な比喩の表現が、
少し自己パロディ的に思えてしまったところが、違和感の一番の要因じゃないかと思う。
短編という凝縮された世界だからこそ、余計に際立って見えてしまったんじゃないかな。
 
そんな中でのベストは「謝肉祭(Carnaval)」かなぁ。
これも実は結構な違和感を感じた作品ではあるんだけど、それでも醜さの表現が魅力的。
次点は少し不思議で、妙なペーストとユーモアを感じる「品川猿の告白」で。
ベスト3にするなら、最後は「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」かな。