新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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家族パズル

家族パズル

家族パズル

  • 作者:黒田 研二
  • 発売日: 2019/12/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
白くろけんの軸の一つにもなっていた”ハートウォーミングな家族物”の
短編をまとめた作品集。
ここ数年ゲームのノベライズばかりという印象だったから、久しぶりに読んだな。
 
各種のアンソロジーに選ばれてる短編が何編も含まれてるので、
全体的に粒ぞろいで、高品質の短編集。
 
勿論全体を貫くテーマにもなっている家族愛が、
非常に心地よい読後感や感動を与えてくれるんだけど、
そういう物語として読ませるだけじゃないのが、さすがくろけんさん。
 
全ての作品で伏線が丁寧に貼られている。
意外なロジックや動機やミスリードで、心地よい驚きを味合わせてくれる。
本格ミステリとしても優れている短編集なのだ。
 
しかも個人的ベストは書き下ろしの「言霊の亡霊」。
これはさすがにやられるよなぁ。感じていた違和感が見事にほどける。
第2位は「我が家の序列」で。現実としては無理があるようには思うけど、
フィクションとしての心地よさは格別。
第3位は組み上げ方が完璧とも思える「はだしの親父」だな。
 
採点は8点に限りなく近い7点。