新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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名探偵に甘美なる死を

 
いずれも秀作だった「時空旅行者の砂時計」「孤島の来訪者」に続く
〈竜泉家の一族〉シリーズ第三弾。
特に前作は自分の年間ベスト作だったこともあり、より期待の高まった作品。
 
でもって、その期待は裏切られなかった、と言ってもいいかと。
さすがに年間ベストの前作ほどではないけれど。
 
今回はほぼハウダニット作品と言ってもいいような作品。
前二作は超自然の特殊設定が前提になった作品だったが、
本作はVR空間ということで、特殊設定ならではの大技を用いながらも、
リアルの範疇に収められるという、作者の得意が活きる作品だった。
 
いやあ、しかしまぁ、VRでこれだけてんこ盛りのトリックを
魅せてくれるとはなぁ。特に二番目の事件の着想にはしびれた。
VR空間の事件に比べて、現実の事件の方がバリエーションに欠けてて、
 見劣りしてしまうのが、難っちゃあ難だけどね)
 
それに勿論ハウダニット”だけ”の作品ではないぞ。
最後にはたたみかけるように、あれだったり、それだったりの
謎解きも展開してくれるので、乞うご期待。
それに、シリーズならではのセンチメンタルな隠し味まで。
 
ここまでやってくれたら、やっぱ採点は8点付けちゃおっと。