時空旅行者の砂時計

時空旅行者の砂時計

　
昨年度話題を独占した屍人荘に続く、本年度の鮎川哲也賞受賞作品。
　
昨年度も最終選考に残ってて、探偵も犯人も宇宙人という奇抜なSF設定が
選考会で話題になってた人。
本作でもやはりSF設定は健在で、タイムトラベルを本格ミステリに
きっちりと組み込んだ作品に仕上がっている。
　
全体として、本格ミステリをきちんと構築しようとしている姿勢が
明らかに見て取れて、非常に好感が持てる。
　
結構細かいところまで気が行き届いていて、手がかりも満遍なく配置されている。
設計図がしっかりしている感じだ。
　
SF的趣向にもこだわっていながら、分離せずにしっかりとミステリに落とし込まれてて、
しかも本格としての構築はどっしりとしていて、きめ細かい。
　
爽やかな読後感を演出出来ているのも心地よい。
　
これは今後も期待の持てる作家になってくれそうだ。
　
年間ベストを争うほどの作品ではないが、採点は手堅い７点。