本格王2021
文庫になって三年目。
これまでの中では、本格度は比較的高めになったような気がする。
バラエティ感を重視というよりは、ちゃんと本格目線でセレクトされてるような印象。
あまり強い作品は無かったけど、全体的に好印象を感じた。
ベストは笛吹太郎「コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎」だな。
「消えた居酒屋」という日常の謎をよってたかって議論する様が楽しい。
外連味ある解決に、ちゃんと真相はあますとこなく解かれるところも心地良い。
解説にもあるが、まさしく泡坂妻夫を想起させる好編。
第二位は方丈貴恵「アミュレット・ホテル」
本書中でも最も本格度が高く、解説にもあるように、ほんっとにネタがてんこもり。
長編でも短編でもサービス精神旺盛すぎだな。
これまた一種の特殊設定ミステリで、ならではの工夫もたっぷり施されてる。
この人にとってはそっちの方がかえって作りやすいんだろうな。
第三位は澤村伊智「笛を吹く家」
本格とは違う作品ながらも、ミスリードの手筋は本格そのもの。
本書中最も「えっ!」と思わされた作品だったので。
比較的小粒の作品は多かったけど、本格度はUpしてて、採点は7点。