新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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孤島の来訪者

 
これは凄い! 昨年度のベストが軽く入れ替わってしまった。
昨年度は長編が振るわず、短編集の年だって評価してたけど、
こんな秀作を読み逃しておいて、そんなことをほざいちゃいけんかったな。
 
一作目も結構評価していて、「今後も期待の持てる作家になってくれそうだ」
なんて書いておきながら、二作目を読みそびれてしまってた。
(以前一度は借りてたんだけど、読む本が立て込んでて読まずに返したのだった)
 
なんと昨年度のSRの会年間ベストで国内第一位になってたので、
慌ててもう一度借り直した次第。
 
本作もやはりSF仕立てで、その設定が完璧に本格ミステリに組み入れられている。
読者の挑戦状もやはり付いている。
 
その本格ミステリとしての構成がホントにお見事。
解決に至っては、なんと複数段の(何段なのかは読んでのお楽しみってことで)
ひっくり返しが仕込まれてて、その一つ一つに驚かされ、なおかつ、なるほどと唸らされる。
本格ミステリとしてのアイデアの練り方が、本格厨の琴線に触れる巧みさなのだ。
 
もう「今後も期待の持てる作家になってくれそうだ」ではなく、
確実に「今後も期待の持てる作家になってくれた」だな。
屍人荘と同年の候補作も、「探偵も犯人も宇宙人という奇抜なSF設定」という話だったから、
まだまだストックはありそうだし、三作目は出来るだけ早く読むことにしよう。
 
採点は余裕綽々の8点。SRの会同様、堂々の昨年度ベストだ。