ヨルガオ殺人事件(上)(下)
おお、さすがのホロヴィッツ。
これだけ安定して出来が良く、面白いのはさすがだな。
現代本格の紛れもない第一人者。しかも古典好きをも虜にする魅力。
シリーズ前作同様、一作書くのに実に二本分以上の労力(完全に別の作品のように見えて、
関連性を紛れ込ますのだから、単純な二本以上の労力がいるだろう)をかけた作品。
これまた前作同様、作中作の出来が良い。クリスティのオマージュ感も健在。
伏線が全て繋がって、すっきりと鮮やかなフーダニットの手管。
贅沢に短編ネタまで放り込まれてる。
本編の方も負けじと、全ての登場人物に動機の説明が付けられていく展開は
やはり非常にクリスティ的。
そして、これまた伏線が綺麗に収束されていく、納得のフーダニット。
趣向としては前作の方がより優れていると思うが、
端正なミステリとしては本作も引けを取らないかも。
採点は大満足の8点。
これだけ納得の作品を見せつけられたら、
今年もやっぱ堂々と三冠をかっさらっていくんだろうなぁ。