- 作者: ノーマン・ベロウ,福森典子
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2019/06/03
- メディア: 単行本
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世界探偵小説全集(国書刊行会編)の「魔王の足跡」を読んで、
この作者は不可能犯罪ファン(おそらくはマニア)だという確認を抱いた。
アルテやデレック・スミスのような書き手ではないかと。
ただ、それから他の作品が読めることは無かったのだけど、
「消えたボランド氏」(2016年)という作品が刊行されてたとは知らなかった。
それより先にこちらの方を知ったので、まずは読んでみた次第。
しかし「魔王の足跡」も案外そうではあったんだけど、
本作なんかは特に不可能犯罪としては別に優れた作品ではない。
というより、そもそも不可能犯罪とも思えないような作品だった。
大胆なフーダニットに繋がってはいるんだけど、
そこまで格別な驚愕とも言えないし。
不可能犯罪マニアらしく(と勝手に決めつけてはいるが)、
もっと不可能性を前面に出して、わくわくさせて欲しかった。
いかにもミステリ的な興趣に溢れるようなタイトルなのに、
それが表してたのは本格とは到底相容れないようなものだったりして、
そういう点でも気持ちが萎えてしまった。
意欲的に仕掛けている作品ではあるが採点は7点に留めておこう。
ちょっと前作にも手を出しにくいかな。
もっと不可能趣味溢れる作品が刊行されたら読んでみよう。