新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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その裁きは死

その裁きは死 (創元推理文庫)

その裁きは死 (創元推理文庫)

 
シリーズ二作目にして、ようやく読み方がわかったように思う。
 
前作カササギの後と云うこともあったし、
メタフィクションと解説で称された構造もあって、
「絶対になんかやってきそうだぞ、来るぞ、きっと来るぞ」と、
”身構えしつつ攻撃”みたいな読み方をしてしまって、肩が凝った。
 
でも、もうこのシリーズは真っ当な本格ミステリだってことはわかってるし、
お笑いで云う”天丼”(同じギャグやボケを二度、三度と繰り返して笑いをとる手法)
みたいなところもわかってきて、読む愉しさがだいぶアップした。
 
いわく、
「おっと、やっぱ昔の事件が出てきたぞ」
 ⇒ 今度は関係するのか、しないのか?
ホーソーン探偵のまた新たな事実が…… でも、ちょっぴりだけ」
 ⇒ 十作通じて語るってことみたいだから、まぁゆっくりと。
ホロヴィッツ先生、きっとどっかで余計なこと言っちゃうよ、絶対」
 ⇒ って、わかってても、これがそうってわかるもんじゃあないんだよねぇ。
ホロヴィッツ先生、またまたピンチになっちゃうのかしら~ん?」
 ⇒ ネタバレで興を削ぐこともないでしょ、はい、今回もなっちゃいます(笑)
なんて感じ。
 
こういう二回目だから戸惑いもなく、身を委ねることができたってところを除いても、
二転三転の展開も含めて、シンプルに理解出来る、わかりやすい作品だったと思う。
 
今回は悩まずに心置きなく、8点を進呈。
とはいえ、2020年の順位表でも、自分の軍配はアルテに。