新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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たいした問題じゃない

おお、これは非常に面白かった。
お薦めとも言わずにこっそりと手渡して、相手の反応を見たくなる、隠れた名作!
これ好きな人とは、きっと話が合うだろうと確信できるような作品だから。
 
昭和57年(1982年)刊行の作品(もうほぼ40年じゃないか)なので、
懐かしき良き古さを感じるところはあるんだけど、
今読んでもとってもオシャレで、もの凄くセンスを感じるユーモアミステリ。
 
作者のあとがきの冒頭に
「英国産の推理小説のように、機知にあふれた謎解きものを描きたかったのだが、
えらくすっとぼけたもんになってしまった。」とあるが、まさにそれこそがいいのだ。
 
ホームズ物の雰囲気も醸し出しつつ、すっとぼけたユーモア感が抜群の持ち味。
たい問トリオのバランスが良く、作者に言われずとも愛したくなる。
勿論、この主役級三人だけでなく、USD連盟とか、ボンド教授とか、
とってもルイス・キャロル的な質屋とか、キャラ設定とユーモアの結びつきが最高。
 
それも単なるユーモアで終わらず、そのユーモア設定が一作毎にちゃんと
意想外な謎解きに繋がっているのがお見事。
純粋な謎解き物ではないかもしれないけど、間違いなくミステリセンスに溢れている。
 
カバー折り返しの冒頭に
「知的な頭脳で鑑賞してほしいハイ・クオリティ・ギャグ」と書かれているが、
ホント、知性とお笑い(お笑いセンスは昭和かもしれないけどね)の両面を
とってもいい感じにくすぐってくれる作品集だった。
 
嗚呼、「ナナオの症候群(名探偵テームズ)」全2巻も手に入らないかなぁ~