- 作者: 倉知淳
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2018/09/13
- メディア: 単行本
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特に手の込んだ謎ではなくて、シンプル極まる謎ばかりだけどね。
三話目なんて、足跡が無いってだけで、空を飛翔したって言っちゃうかな〜。
ま、でも、謎はともかく、本来のポイントはその真相にあるはず。
で、これが、なんだかものすごく既知感。
特に一話目の南京錠のトリックなんか、小説や漫画で複数回は読んでる手順。
プラスの一工夫はあるから出してもよかんべという判断なのかな。
三話目も足跡トリック初期の超々古典的手法(おんぶで脱出)の緩〜〜い応用。
二話目の表題作だって、類似作はぱっとは思い浮かばないけど、ありがちに思える。
また探偵役も奇をてらった設定になってるわけなんだけど、
プロット的な必然性が全く無いのは手抜きでしかないと思えてしまう。
昔々こういう事件があって、その手口の現代版じゃとか、やってくれなくっちゃだわ。
(少なくとも三話目はさっき白抜きしたようなのとか簡単に作れるし、
南京錠は昔からあるし、二話目だってメタファの作りようは充分ありそうやん)
ユーモアミステリだからこそ、ユーモラスさだけに逃げるんじゃなくて、
逆にそういう本格的道具立てをしっかりやって欲しいよ。
そういうところにちゃんとこだわってくれる本格書きの人だと思うだけに、
本作は残念な出来映えだった。
意欲の感じられない作品に対しての、おざなりの6点。