新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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殺人七不思議

 
いやあ、もうやっぱりアルテ以外のなにもの(何者、何物、両方の意味で)でもないな。
 
これまで書いてきたようなアルテ評(まぁほぼ全部同じこと言ってんだけど)を
ぎゅぎゅっと凝縮したような作品。
「懲りまくった雰囲気作りに、意外にしょぼいトリック、というアルテの特徴」
「一見いかにもガチガチの本格ミステリだと勘違いさせられそうになるのだが、
その実「ドリフの効果音」が似合いそうなトリックが待ち構えたりする」
「アルテはあまりにもおおざっぱで、トリックの扱いは存外にぞんざい」  
 
そんなだけど、世界七不思議になぞらえた七つの不可能犯罪を
曲がりなりにも成立させてしまうアルテに完敗で乾杯!
 
たまたま手に取った人ならいざ知らず(まず、そんな人が本書に手を出すとは思えないが)
アルテを読み込んできた人ならば、間違いなく笑顔で読み終えられるだろう作品。
「ようやるなぁ」と戦友の武勲を賞賛したくなるような気持ち。
 
芦辺拓の特別寄稿もトリックには感心しないが、気持ちよく読めるし、
小冊子の短編も本編と同じような感触で小笑いできてと、おまけも充実。
 
採点は8点。今年も自分の海外1位はこれで決まりだろうな。
(現時点で純粋なミステリはこれ一冊きりしか読んでないくせに何を言うか ⇒ 自分)