新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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罪の声

11/20(金) イオンシネマ多摩センターにて鑑賞。
 
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原作は未読。
 
あのグリコ森永事件を下敷きにして、
ひょっとしたらあり得るかもしれない真相を炙り出す過程を描きながら、
”罪の声”に翻弄された三人の子供達の人間ドラマを丁寧に描いた作品。
 
声から徐々に真相を追っていく曽根俊也(星野源)サイドと、
新聞記者の視点から真相を追っていく阿久津英士(小栗旬)サイドが、
交差してからは、バディ物のような雰囲気で一気に全貌に迫っていく。
 
それなりに説得力のある真相なんだけど、その過程はあまりミステリ的な興趣は無し。
最後の方に明らかになる真相も、ちょっと唐突で不必要な感触も受けてしまった。
何故あんなテープを残していたのか、という根本的な疑問に対しての解答に繋がるのなら
納得出来たんだろうけど、そうではなかったし。
(これが無ければ、そもそもの始まりが無い話なので、心理的裏付けが欲しかったなぁ)
 
ただ、演技陣の説得力は半端ない。この映画の最大の魅力はそこだったな。
特に望役の女の子と、聡一郎の大人役の役者の存在感が格別。
望の親友のシーンも切々に胸に迫ってきて、涙が滲んだ。
これらがあるから、観る価値はあったと思えたかな。