クジラアタマの王様
伊坂幸太郎作品の本質は異世界ファンタジーだと、ずっと言い続けてきたが、
これは声を大にして言う必要が全くないほど、王道中の王道の異世界ファンタジー。
夢の中の世界で勇者のように戦う…… なんつう厨二病みたいな、
あるあるの妄想ファンタジーを、伊坂幸太郎がいったいどう料理するのか?
……と構えてみたのがバカバカしくなるくらい、
のうのうと、いつもの伊坂エンタメの世界を描いてみせる。
そんなにひねるでもなく、特異なアイデアをぶちこむわけでもなく、
(夢の世界側は基本的にイラストで表現ってのが新しいくらい?)
パロディ的に扱うわけでもなく、逃げも無く堂々と正面から。
手法的には、まぁ参りました、といったところ。やっぱ器用だね。
ただ、エンタメとしての面白みはいまいち薄かったかなぁ。