新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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東京創元社2019年新刊ラインナップ説明会レポ(第二回:レポ中盤戦)

休憩の後、北村薫先生と宮部みゆき先生による、創元推理文庫創刊60周年記念トークショー
北村先生の一言で、当初の予定より長い1時間枠になった様子。
 
宮部先生は、若々しいちっこい可愛いおばちゃんが、若さ保ったまま年齢だけ上がった感触。
北村先生は、以前もお目にかかったことあるけど、元職どおりの”先生”そのままのイメージ。
 
まずつかみのトークは、初めての出逢いの場での宮部先生からの一言。
作品とペンネームから”北村薫”のことを若いお嬢さんだと思ってた宮部先生に対し、
北村先生から事前に「お嬢さんではないので「こいつめ」と言ってください」という
お手紙(?)が出されてたらしく、その通りの「こいつめ!」という一言めだったという話。
実演された宮部先生のその言い方が、とっても愛嬌があってなんとも可愛らしかったこと。
 
言われてみれば、御二人とも「鮎川哲也と十三の謎」の同期になるんだもんね。
小説デビューだけに限定しても、更に有栖川有栖先生に、山口雅也先生も該当するので、
ホントに凄い選集だったことがよくわかる。
 
そこからの本番トークは、それぞれの選んだ創元推理文庫の神7についてのもの。
 
北村先生の神7が「メルトン先生の犯罪学演習」「ブラウン神父の童心」「赤毛の男の妻」
「まっ白な嘘」「招かれざる客たちのビュッフェ」「夜鳥」
「日本探偵小説全集2 江戸川乱歩編」の7作品。
 
宮部先生の神7が「ミス・マープルと十三の謎」「ブラウン神父の童心」
「招かれざる客たちのビュッフェ」「七人のおば」「M・R・ジェイムズ怪談全集」
怪奇小説傑作集」「星をつぐもの」の7作品(複数冊のものも1作品と数えて)。
 
いっぱいメモってるんだけど、長くなるので、特に印象に残ってるトークをいくつか。
・姉が友達から借りてきた「グリーン家殺人事件」を宮部先生の方が先に読んでしまい、
 姉に返す際に「犯人、この人だよ!」と人生初めてのネタバレをしてしまった話。
・「星をつぐもの」に感動し、北村先生が授業の際に生徒に「どうせ、お前達読まないだろ」
 と最後までかどうかは覚えてないけど話してしまった話。あれは言いたくなるよね、に共感。
・暗くなってきた教室で友達三人で「三角館の恐怖」を音読で回し読みしてて、
 誰からとも無く「キャー!」と悲鳴上げて用務員さんに怒られた、乱歩のキャー事件。
・世界短編小説全集は刊行し直しされてて、新しい作品も追加されてる。
 北村先生の一番印象に残ってる作品は、4巻収録の「銀の仮面」
・「ローマ帽子の謎」の新訳をやらないかという話が北村先生に以前あったらしい。
・明日はバレンタインデーだから、皆さん、「毒入りチョコレート事件」読みましょうね!
 
締めくくりとしては、創元推理文庫及び東京創元社は、新しい作品へのアンテナの良さ
(「薔薇の名前」や「カササギ殺人事件」が例に挙がってた)と、
古典的な作品をより良い完璧な形で出してくれるところ(連城やカミや「神鳥」など)と、
その両面を兼ね備えてくれているところが素晴らしいということ。
戸川さんがよく言ってた言葉は「創元推理文庫はミステリ界に於ける岩波文庫」を目指してると。
 
結局たっぷりと長くなってしまったので、明日の第三回に続く。