新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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狂覗

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「カメ止め」のような低予算作品の秀作。
俳優達自身もスタッフを兼ねて撮る形式だったらしい。
特典で、スタッフ作業と役者演技の切替の難しさを語ってたのが印象的だった。
 
秀作であることは間違いないんだけど、
異形の作品というか、ある意味凄くグロテスクな作品なので、
万人にお薦めできるような作品では決してない。
直接的な描写とかではなくて(と、完全には言い切れないかもしれないが)、
心理的な、あるいは道徳的なグロさだけどね。
 
基本スタイルは密室劇。
舞台はほぼ一つの教室内に限定されている。
教師達による、秘密裏の持ち物検査。
その中で次第に明かされていく、闇の数々。
まともな人間なんて、一人もいやしないのだ。
 
とにかく最初から最後まで終始つきまとう不愉快さ。
視点人物的なトラウマ教師の妄想シーンも、その不快さに輪を掛ける。
過去に端を発すトラウマ妄想と、被害者に憑依するようなマゾ妄想と、
脈略もない二種類の妄想が不安定さをずっと煽ってくるし。
 
そして意外性のある、衝撃的なラストに繋がっていく。
このインパクトはかなり凄まじいので、一見の価値ありかと。
 
厭ミスをものともしない、むしろ好きという人限定ならば、
見るべき秀作と言ってかまわない作品だと思う。