- 作者: 大山誠一郎
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2018/09/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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純粋にハウダニットのみで、ここまで読ませる作品集が
産み出せるんだもんなぁ。
自分語りで申しわけないが、文庫で海外古典を読み始めた頃の「樽」のトラウマで、
アリバイ崩し物ってのは正直苦手意識しか無い。
(古典のオールタイムベスト上位に必ずランクインしてる作品なので、
期待して読んだのに、読み続けるのにもの凄く苦労した挙げ句、
極端につまらなかった……と、当時中学1年生の自分には思えた)
犯人は分かってるのに、アリバイの謎を解くだけの作品って、
興味自体が沸かなかった(例外的に素晴らしい作品は当然あるのだけど)。
そんな自分をも興奮させてくれる、アリバイの謎解きの醍醐味。
一つ一つの作品の着想のぶっ飛び具合が頭抜けている。
こつこつと一歩ずつ積み上げていくようなイメージがアリバイ崩しにはあるけれど、
そんなのを大きくバイパスするような発想の飛び。
これって、解き味がアリバイ崩しと云うよりは、不可能犯罪崩しに近い。
抵抗感を感じないのは、それが大きな理由なのではないだろうか。
ただ、やり口に少し慣れてきたのか、後半の2篇ほどは
完璧に読み解けてしまった作品があったので、
採点はギリギリ8点を逃す7点にしよう。
とはいえ、やはりいつもの如くこう思わせてくれちゃうよ。
麻耶雄嵩と大山誠一郎のお二人には、死ぬまで付いていきますっ!