- 作者:安萬 純一
- 発売日: 2021/01/20
- メディア: 文庫
鮎川賞作家からの挑戦状
星のように煌めく謎解きの粋!
高純度な本格ミステリ短編集
たしかに高純度ではあるんだけど、カカオ100%チョコレートのように、
純度が高ければ高いほど美味しいってわけにはいかないのが世の習わし。
本格厨の自分にこそ向いてる作品だろうと期待は高かったんだけど、
なんだかちっとも乗れないままだった。
全般的に必然性の感じられない、ミステリのためのミステリという人工物で、
普段からそういうもので構わないと公言している自分にとってさえ辛いものだった。
大山誠一郎だってそういう要素は高いのに、どういうところが違うんだろうと
考えてみると、やはり発想の飛びにあるように感じられる。
この作者の場合、せせこましいところでごちゃ~っとしてるだけ。
何段階かひっくり返してみても、スマートさが感じられない。
これならもっとシンプルな方がいいとさえ思える始末。
本格に正面から向き合ってくれてるだけに、そのうち自分にも
ぴたりと来るような作品を生み出してくれそうな気はするが、少なくとも本作ではない。
ベストは殺人トリックには全く感心しなかったけど、発想の飛びとしては
本作中最も良いと思えた「病院の人魚姫」かなぁ。
採点は勿論6点だ。