新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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満月の泥枕

満月の泥枕

満月の泥枕

非動物名作品だったけど、どっちかと云えば動物題名でも
良かったんじゃないのと思える作品だった。
(って、勝手にそういう使い分けがあるように想像してるだけだけど)
 
ユーモアの中に、ペーソスもたっぷり織り込んではあるけれど、
文学臭くさくなく、普通にエンタメ感覚で読める。
 
話の構成自体は、最近の作者の王道パターンのよう。
いろんな意味でちょっと弱さを抱えた主人公が、
周りを巻き込んで(あるいは巻き込まれて)、
ちょっと突飛なドタバタ劇を引き起こすけど、
そこには実は知らなかった真相が隠れてる。
そんなお話。
 
作者らしい話なので、楽しめる作品ではあるけれど、
そんな中で上位に入るほどの作品ではなかったかな。
別の話が隠れてたって感じで、
今までの様相がひっくり返るというようなものではなかったので。
 
またこれは子供を死なせてしまった父親と、本当の子供では無い親子物。
泣かされる気満々で構えて読んだけど、
敢えて泣かすようには書かれてはいなかったので助かった。