新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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薬草とウィンク

原書房様からの頂き物。いつもありがとうございます。
感想が遅くなって、申しわけありません。

薬草とウインク

薬草とウインク

ミステリというより、歴史小説として楽しめる作品。
 
特に「聖遺物」(性異物と最初に変換されて思わずのけぞった)と
「神明裁判」のくだりが非常に興味深い。
 
「聖遺物」の中でも、本書で重要な役割を果たすのは、
飛びっきりの遺物である「聖槍」。
知識が無いので、取りあえずWikipedia覗いてみたら、
「アンティオキアの聖槍」という史実がベースになってるようだ。
 
いやあ、しかし、聖遺物が土産屋のこけし程度の扱いになってるのが
なんとも俗っぽくて、苦笑させられる。
十字軍という一種のオールマイティカードが現れたせいで、
その混乱に乗じて、偽物が一気に噴出して、それがそのまま
現在にも残ってしまってるのが多々あるんだろうね。
 
「神明裁判」で真偽を決められたって意味の無い話だし。
まぁ十字軍の時代だって既に十一世紀なわけで、その時代の聖人の遺物ならともかく、
キリスト時代の遺物なんて、そもそも「正」なんてほぼないわけなんだろうし。
 
そんなところをつらつら楽しみながら読めたわけだけど、
ミステリ中心の読み方をすれば、採点は6点。