新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

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RPGスクール

RPGスクール (講談社ノベルス)

RPGスクール (講談社ノベルス)

舞台設定の変さ加減は一、二作目の比ではないけれど、
その実、三作の中では一番真っ当な作品と言えるかもしれない。
 
西澤保彦のように、SF設定の中でどんちゃかどんちゃかやらかして、
その中に設定を活かしたロジックを潜ませて、本格の謎解きを行う作品。
 
ただ、本書の大部分を占めるRPGのところは、さほど面白味は無いかも。
やってみたかったんだろうなってのはわかるけど。
金仮面、銀仮面など、謎めいた要素はぶち込んで、
飽き飽きしないようには作られてはいるけどね。
 
パズルの意味だとか、魔王の正体の謎解きだとかも、
すっきり感には欠けたように思う。
 
その後、謎解きに入るわけだけど、こちらもすっきり感が薄い。
ロジックがくどい割には(まぁこれは個人的には嫌いではないのだが)、
消去法の最後の結論が、ぱっと思い付きで出るような答。
 
ミステリの消去法の価値って、いかにもあり得そうにないものが最後に残るんだけど、
でも消去法でそれしか残ってないんだからそれが真実!ってとこにあるのが、
ホームズの時代からの決まり事になってるのに。
 
こんなん、どうよ?、と初っ端に思い付きで出そうなもんを、
最後に持ってこられても、それって順番なだけやん、とか思っちゃう。
 
最後のワンポイントも、伏線はあるけど、あんまし美しいトリックではないしな。
 
う〜ん、変そうな割に実はさほど変でもなく、
結局何のかんのと面白味が無く、採点は6点。