虹の歯ブラシ 上木らいち発散

虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)

あっ、あれっ？
デビュー作の感想も書いたと思ってたけど、日記検索しても出てこないな。
　
そのデビュー作は、笑撃のバカミス。
でも、真実が明かされると、納得のいく伏線が多数。
しかもそのバカ真相がロジックの成立条件であるという仕組みが秀逸。
　
ただ、どこを漢字にするかで文字数変わるやん、と思えて、
タイトル当てに関しては個人的にはイマイチ。
○○○○○○殺人事件（カタカナで）なら納得なんだけど。
面白味は全く無いけどさ〜。
　
さて本作は、それに輪を掛けてぶっとび〜の第二作だな。
　
各短編に盛り込まれたボールド体の一文が、あまり意味を持てるようにも思えず、
どうなることかと思っていたら、結構すさまじいな。
最終章の中盤無茶苦茶だけど。
　
まぁ荒唐無稽ながらも、ロジカルではあるので、
投げつけたくなることはない。
　
短編として見た場合は、ポーに挑戦した「青」、チェスタトンに挑戦した「緑」
（嘘です、どっちも本気で言ってるわけではありません）の二作が佳作。
　
これらを目眩く最終作で連作として締め括る形式。
二番目の真相が大好き。これまでのエロさをヘナヘナにしてくれて、
やられた〜と思ったけど、そこからはちょっとなぁ（笑）
　
ちなみに個人的には、例のあのお方の正体は「オットセイ」だと確信してた。
だって、そういう象徴でもあるわけなんだからさぁ。
ちゃんと本筋は見抜いてたのになぁ〜。
　
でも、まぁ色々とやらかしてくれて面白いッス。７点進呈。