新・三つの棺-「幻影の書庫」日記

本格ミステリ書評サイト「幻影の書庫」の旧管理人のブログです。カテゴリー欄の全レビュー索引より、書評、映画評、漫画評、その他評の全一覧リストを見ることが出来ます。同じくカテゴリー欄の年間順位表より各年度の新刊ミステリの個人的ランキングを確認出来ます。

祈りの幕が下りる時

祈りの幕が下りる時

祈りの幕が下りる時

これは小説としてのミステリだな。
東野圭吾のそういう巧みさが存分に発揮された作品。
 
藁をもつかむような行動から、実際にその藁が掴まり、
藁をたぐり寄せているうちに、”ある人生”が浮かび上がってくる。
 
”真相”という解決に辿り着くのではない。
壮大な物語にも匹敵する人生の”真実”を見出すのだ。
 
そして本書は加賀自身にまつわる真実をも見出していく。
加賀サーガとして、重要な意味を持つ作品なのだ。
 
自分の求めるミステリ像ではなかったけれど、
読み応えのある作品ではあった。