希望の糸
殺人事件としてはあっさりしすぎてるんだけど、
人情ミステリとしての全体の組み上げ方が、流石の東野節。
ストーリーの中で、隠されていた謎が暴かれ、
それが心理を紐解き、読み手の感情に刺さる。
本格ミステリ偏愛主義者というわけではない
ミステリ読者や、一般の読書愛好家にとっては、
こういう作品こそが良いミステリなんだろうなと、
皮肉ではなく、素直にそう思えるような作品。
加賀恭一郎シリーズとしては、もう書き尽くしただろ、
と思える状況の中で、従弟の松宮修平を表に立てて、
更に拡がりを見せてくれるというのも、
東野読者にアピールするポイントだろう。
父娘物でもあるので、採点は7点に比較的近い6点。